研究課題
本研究は双極性障害と関連する気質の脳画像研究を行うことが目的である。fMRI研究のタスクとして明暗弁別や明暗嗜好のタスクを作成し、その際の脳の賦活部位を同定することで、気質と関連する神経基盤の探索を試みた。この2年間の研究として、発揚気質の健常者と非発揚気質の健常者の間で明暗の弁別閾が異なるのか検討した。つまり、発揚気質の場合には、同じ照度であっても非発揚気質の場合よりも暗いと感じるので、より明るいところを求めるという仮説である。結果としては、両群に有意差はなく、この仮説は否定された(J Affect Disord, 2013a)。次に、明暗の嗜好が異なるという仮説を立て検討した。すなわち、発揚気質の場合には非発揚気質の場合と比較して、明るいところを好きと感じ、暗いところを嫌いと感じるという仮説である。その結果、この仮説と一致する所見が得られ、発揚気質は向日性を有することが示唆された(J Affect Disord, 2013b)。これら2つの研究における脳画像上の重要な発見は、上記の明暗弁別や明暗嗜好のタスクをかけている時に、そのコントロール課題中に左下の眼窩前頭皮質が賦活されることを見出したことである。発揚気質は反応時間も短縮していることや、やはり左下の眼窩前頭皮質が関連することも再確認した(J Affect Disord, 2013c)。これらの所見は、発揚気質の神経基盤として前頭葉の左下の眼窩前頭皮質もしくはその近傍が関連していることを示唆している。
2: おおむね順調に進展している
この申請内容と直接関連する4報の英文論文を国際誌に掲載できた。
並行して行ってきたFDG-PET研究のデータ解析や論文作成を行う。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件)
Journal of Affective Disorders
巻: 155 ページ: 169-73
10.1016/j.jad.2013.10.045
巻: 151(3) ページ: 914-9
10.1016/j.jad.2013.07.038
巻: 151(2) ページ: 763-8
10.1016/j.jad.2013.06.017
巻: 151(1) ページ: 143-8
10.1016/j.jad.2013.05.066