発揚気質者と非発揚気質者の間では、明暗弁別に差はなく、明暗嗜好において差が認められた。すなわち、発揚気質者は明るさを好み暗さを嫌う程度が非発揚気質者よりも有意に大きかった。このときに、左下の眼窩前頭皮質の活動性が関連していた。発揚気質得点は、札幌、越谷、大分の順に、すなわち日照量が増える順に、高くなった。つまり、発揚気質得点と日照量の間には有意な正の相関があった。これ以外にも、気質と形態画像などの研究も行っており、今回の研究から得られた示唆は以下のとおりである。 ・発揚気質の人は光をたくさん浴びているが、これは明るいところを好む向日性と関連する一方で、日照量の多さによって発揚気質が維持・増進される可能性もある。 ・逆に、循環気質の人は光をあまり浴びていない。 ・機能画像から、発揚気質の神経基盤には左下の眼窩前頭皮質が関連している可能性があり、循環気質の神経基盤には左舌状回が関連している可能性がある。 ・他方、形態画像では循環気質や発揚気質の人はともに左正中前頭皮質の増大が見られる。 ・これらの気質の神経基盤は、発揚気質では左正中前頭皮質から左下の眼窩前頭皮質を含む神経回路が関与しており、循環気質では左正中前頭皮質から左舌状回を含む神経回路が関与している可能性がある。
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