研究課題/領域番号 |
24591725
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
永田 利彦 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80237528)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 双極性障害 / 境界性パーソナリティ障害 / 摂食障害 |
研究概要 |
78例の摂食障害の治療や臨床評価を求めて来院した女性患者を対象に、文書にて研究参加の同意を得た後、双極性障害のスクリーニング用紙であるMood Disorder Questionnaire (MDQ)日本語版とBipolar Spectrum Diagnostic Scale (BSDS)日本語版を施行し、その後に半構造化面接により気分障害と境界性パーソナリティ障害を診断し、MDQ、BSDSの双極性障害だけでなく境界性パーソナリティ障害のスクリーニング用紙としての有用性をReceiver Operating Characteristic analysisによるArea Under the Curve (AUC)によって検討した。 その結果、半構造化面接により15例(19%)が双極II型障害、12例 (15%)が境界性パーソナリティ障害と診断された。MDQとBSDSのスクリーニングとしての有用性を検討するためにAUCを計算すると、双極II型障害に対しては0.78 (MDQ)、0.78 (BDSD)、境界性パーソナリティ障害に対しては0.75 (MDQ)、0.79 (BSDS)であった。 MDQやBSDSは確かに双極性障害のスクリーニングとして有用であったが、同程度に境界性パーソナリティ障害もスクリーニング可能であり、その使用には注意を要すると思われた。また、また、双極性障害と境界性パーソナリティ障害の症候学的な類似性が浮かび上がり、今後、さらなる検討が必要と考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
双極性障害と境界性パーソナリティ障害の症候学的な類似性を双極性障害のスクリーニング用紙の心理測定的な検討によって、示唆することができた。今後の、縦断的な検討や、神経免疫学的な検討の足がかりができた
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今後の研究の推進方策 |
今回の研究結果を基に、縦断的な検討や神経免疫学な検討へと進んで行く予定である。具体的にはさらに研究参加者を募り、初診時における各種の臨床データによって、縦断的な検討の結果、双極性障害であるかパーソナリティ障害を基にした気分の不安定さであるのかが鑑別可能であるのか検討を行っていく
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次年度の研究費の使用計画 |
双極性障害またはその疑いで紹介状を有し受診した症例とそれ以外の症例を対象に、半構造化面接の結果と前医の診断を比較する。その後、双極性障害群、パーソナリティ障害群、両方の併存群、健常群の4群で各種の自己記入式尺度、観察式尺度得点、血中BDNF (Brain-derived neurotrophic factor) やサイトカインを比較する。さらに、前年度の研究参加者をも含めて追跡調査を行い、操作的診断基準では双極性障害と診断されてもパーソナリティを基盤とする気分の統制の障害であると考えるのが妥当な群の判別や、その基準の作成をめざす。
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