研究課題
基盤研究(C)
本研究の目的は、地域在住高齢者のコホート研究において新規に発症する主観的認知障害(subjective cognitive impairment; SCI)、軽度認知障害(mild cognitive impairment; MCI)、あるいは認知症領域への転換に、認知症の危険因子として指摘されている心血管疾患やII型糖尿病の原因として知られるメタボリック症候群が与える影響について、抑うつ状態、生活習慣、社会的サポート、そして心理的苦痛などの要因を加えて検討する。また、SCI の有無の背景要因について調査し、発症予防可能性、やMCI と認知症への転換可能性の目安についても検討する。平成19年度に施行したベースライン調査参加者4,427 人に追跡健診参加の案内を送り、平成24年2-11月に延べ55日間に渡って追跡健診を行い、2,837人に対して研究実施計画で予定した検査内容を終了した(1次調査)。また、追跡健診のデータを有効に使用するため、ベースライン調査におけるデータを用いた解析を行った。抑うつ状態がなく、認知機能に問題がない地域在住高齢者の物忘れの自覚(SCI)には、性別、配偶者からの社会的サポート、聴覚、収入、そして睡眠が関連している可能性を示した(日本公衆衛生学会総会、2012)。本結果は横断研究の解析であり解釈には注意を要するが、聴覚障害や睡眠障害の防止、そして収入減少への対処によるMCIの前駆状態であるSCIの予防の可能性を示した。また、メタボリック症候群(MetS)が抑うつ状態に与える影響について多重ロジスティック回帰分析を行い、MetSの抑うつ状態に対する調整済みオッズ比は1.32(95%CI: 1.03-1.68)と有意な上昇を認め、これを報告した(Morikawa M、2013 accepted)。
2: おおむね順調に進展している
5年目の追跡検診(1次調査)を無事に終了し、2,837人の参加者を得ることができたため。
追跡検診に参加できなかった対象者(約1,500人)に対しての調査をおこなう(死亡、新規疾病の有無等)。また、追跡検診のデータの集計と入力、そしてデータクリーニングを行う。
次年度においては、追跡健診の中で入力が終わった使用可能なデータを利用する。ベースライン健診における対象者の背景を用いたコホートの解析を行い学会で発表を行う。また、採取した血液を用いて本研究の目的に影響を与える項目について追加の検査を行う。
すべて 2013 2012
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Int J Geriatr Psychiatry
巻: 未確定 ページ: 未確定
10.1002/gps.3950. [Epub ahead of print] PMID: 23526542 [PubMed - as supplied by publisher]