研究課題/領域番号 |
24591726
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
森川 将行 奈良県立医科大学, 医学部, 研究員 (30305726)
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研究分担者 |
岡本 希 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (70364057)
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キーワード | 主観的認知障害 / 地域在住高齢者 / 軽度認知障害 / メタボリック症候群 / 抑うつ状態 |
研究概要 |
【目的】本研究は、地域在住高齢者のコホート研究(ベースライン4427名参加)において新規に発症する主観的認知障害(subjective cognitive impairment; SCI)、軽度認知障害(mild cognitive impairment; MCI)、あるいは認知症領域への転換に、認知症の危険因子として指摘されている心血管疾患やII型糖尿病の原因として知られるメタボリック症候群が与える影響について、抑うつ状態、生活習慣、社会的サポート、そして心理的苦痛などの要因を加えて検討する。 【研究概要】平成24年に実施した追跡健診未受診者866名を対象に、調査内容を減らして、簡易版追跡健診を行い、平成25年9月の15日間で218名の参加が得られた。加えて、簡易版追跡健診未受診者648名を対象に、医療スタッフによる訪問調査を実施し、状況を確認した。平成25年10月-平成26年1月の調査の結果、233名が拒否、11名が死亡、16名が転居、長期不在が56名であることが判明し、294名については、病歴、健康関連項目、そして、新規発症疾患について調査した。これらの追跡健診において、遺伝子調査の同意が得られた対象者の中から、アルツハイマー病の危険因子の1つであるアポリポ蛋白E4についてSNP解析を実施した。また、平成24年に行った追跡健診のデータを用いた解析を行った。 【発表内容】平成19年度に実施したベースライン時の正常認知機能の対象者をその平均値で2群に分け、5年後に認知症領域に低下する要因が異なるかを探索的に検討した。5年後に新規に認知症領域となった対象者は、平均下群67名(972名中)、平均上群43名(1444名中)で、両群とも高齢になるに従って危険度が増し10年以上の教育歴が保護的に働いていた。認知症領域への低下を防いだ異なる要因として平均下群では配偶者からの、平均上群には家族からのサポートが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
5年後の追跡調査への未受診対象者について、簡易型追跡健診や訪問調査を実施したことで、866名の状況について調査を完了し、ベースライン健診受診者のデータの脱落を減らすことができた。
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今後の研究の推進方策 |
簡易型追跡健診と訪問調査のデータの入力、集計、そしてデータクリーニングを行う。血液検査から得られた遺伝子のSNP解析を継続する。得られたデータから解析、発表を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
初年度の追跡健診の参加者が当初の計画よりも少なかったため、2年目に、追跡参加者数をさらに増やしデータの確実性を上げるために、健診時間を短くしたより負担の少ない簡易型追跡健診、そして脱落理由を明確にする必要性から訪問調査を行った。これらのデータを合わせて集計した上で、遺伝子解析対象者の選定をする必要があったため、解析が年度をまたぐこととなり、3年目に繰り越された結果となった。 認知機能の優秀群のアポリポ蛋白E4のSNP解析を行う。また、初年度のデータに、簡易型追跡健診並びに訪問調査のデータを加えて解析を実施し発表を行う。
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