研究課題/領域番号 |
24591726
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
森川 将行 奈良県立医科大学, 医学部, 研究員 (30305726)
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研究分担者 |
岡本 希 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (70364057)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 主観的認知障害 / 地域在住高齢者 / 軽度認知障害 / 認知症 / 社会的サポート / メタボリック症候群 / アポリポプロテインE4 |
研究実績の概要 |
【目的】本研究は、地域在住高齢者のコホート研究(ベースライン4427名参加)において新規に発症する主観的認知障害(subjective cognitive impairment; SCI)、軽度認知障害(mild cognitive impairment; MCI)、あるいは認知症領域への転換に、認知症の危険因子として指摘されている心血管疾患やⅡ型糖尿病の原因として知られるメタボリック症候群が与える影響について、抑うつ状態、生活習慣、社会的サポート、そして心理的苦痛などの要因を加えて検討する。また、SCI の有無の背景要因について調査し、発症予防可能性、やMCI と認知症への転換可能性の目安についても検討する。 【研究概要】アポリポプロテインE4(ApoE4)に関する遺伝子のSNP解析を継続し、最終的に対象者2331名に関する結果が得られた。16.5%の対象者がApoE4を有していた。追跡検診(平成24-25年)から得られたデータのクリーニングを行い、解析結果の一部について報告を行った。 【研究発表】平成26年度の成果から新規に認知症領域への低下に保護的に働く要因の1つとして、家族からの社会的サポートが低いことを指摘した。平成27年度は社会的サポートを手段的サポートと情緒的サポートに分けて解析を行い、日本精神神経学会総会において報告した。家族からの手段的サポートが高いこと、配偶者とその他の家族からの情緒的サポートが高いことが、認知機能低下の危険性が高くなった。さらに、アポリポプロテインE4の有無を加えた解析においても、配偶者からの高い情緒的サポートは統計学的に有意な認知機能低下の危険因子となり、配偶者とその他の家族からの高い手段的サポートは統計学的に有意な傾向を認めた(P < 0.1)。これまで様々な視点からの解析を行ったが、地域在住の独歩可能な高齢者において自立的に生活することは認知機能を保つ可能性が示された。
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