研究課題/領域番号 |
24591729
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
遠藤 仁 岩手医科大学, 医学部, 助教 (90552737)
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研究分担者 |
大塚 耕太郎 岩手医科大学, 医学部, 講師 (00337156)
酒井 明夫 岩手医科大学, 医学部, 教授 (30146063)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 精神科救急 / 適正受診 |
研究概要 |
(1)精神科救急医療施設における実態調査:高次救命救急センターを受診した患者の特性を調査し、情報センターを含めた精神科救急システムの適性利用および適性受診につながる要素を検討した。受診時の主訴と転帰から、救急センター入院率が高かった主訴、精神科病棟への入院率が高かった主訴、入院不要と判断された主訴を区別し、これらの情報が相談時の振り分けの一助となることを実証した。救急センター入院率が低かった精神病症状、精神運動興奮、希死念慮などの愁訴は、ほとんどが精神科病棟へ入院しており、精神科単科病院への振り分けも可能と考えられた。他方、救急センターに入院した症例は集中的な身体管理が必要で緊急性が高く、その主訴は身体科の内容とも重なるため、総合病院への搬送が必要となると考えられた。 (2)かかりつけ医に対する実態調査:アンケートを作成し、現在も関係機関との体制整備を進行中である。 (3)精神科救急受診の適正受診及び自殺のリスク評価のための指標の開発:精神科救急における自傷自殺企図症例については他の主訴と比較し重症例の比率が多いため、同症例の中でも特に重症化し総合病院対応が必要であった症例群の転帰や自殺企図手段などの要素を調査した。結果、救急センター病棟入院となった比率が高かった焼身、服毒、ガス、飛び降りや、死亡の転帰をとった比率が高かった縊首、飛び降りなどの手段においては、総合病院での対応が原則望ましいと考えられた。縊首は救急センター病棟入院、精神科病棟入院、死亡のいずれの比率も高く、致死率の高い手段であるため、未遂に終わり身体的に軽症例においても、入院を前提とした対応が望ましいと考えられた。 (4)患者のための受診適正化プログラムの開発:上記結果をもとに現在も実施進行中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
かかりつけ医に対する実態調査は、現在はアンケート用紙を作成した段階であり、今後は関係機関に連絡の上、アンケート記載や収集などについて体制整備を進めている段階である。 また、患者のための受診適正化プログラムの開発については、患者の主訴や転帰を中心とした精神科救急医療施設における実態調査と、自殺のリスク評価の結果をもとに、救急受診の際の重症度を適切に評価し、受診プログラムが患者の不利益とならないよう留意しつつ、現在も作成中である。
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今後の研究の推進方策 |
精神科救急医療施設における実態調査は今後も継続する。対象施設における精神科救急症例に関して、平成24年度と同様、精神科救急の担当医によって記載されるケースカードおよび調査票よって情報収集を行う(情報に関しては雇用する地域連携員がデータ入力を実施する)。また、アンケート記載や収集などについて、精神科救急対応施設、精神科病院協会、精神科診療所協会、精神科救急情報センター、地域の医療機関、保健所等の関係機関と連携し体制整備を進め、患者のための受診適正化プログラムを構築、活用し、有効性を検証する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究成果を学会で周知し、その場で臨床家や研究者などとの交流を行い、研究に還元する目的で旅費として使用する。また経費を用い、研究で得られた途中経過・最終結果を速やかに論文で公表する。本研究ではデータの保護の意味合いからもインターネットに接続しないコンピュータ環境でデータの管理・処理を行うため、コンピュータを用いる。データ入力・解析・出力のためコンピュータ・ソフトを活用する。消耗品は主に成果報告のための資料作成や地域住民用のリーフレット・ポスターなどに用いられる。
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