研究課題
基盤研究(C)
側坐核に過剰発現させたdFosBがストレス後のコカイン依存性を上げて、d2dFosBが下げることを明らかにしていたので、その分子メカニズムの違いを追求している。そのために二つの蛋白質の違いであるN末端と結合する蛋白質をyeast two hybrid systemを用いて三つ同定した。それらの蛋白質のどの部位がFosBのN末端と結合するか検討した。具体的には、3xFlag tagを結合させた三つのフラグメントに分けた発現ベクターとdFosB発現ベクターをNeuro2A細胞に感染させて、抗Flag抗体で免疫沈降した後、Western blottingにてdFosBの有無を確認した。その中で核で発現する蛋白質を選び、逆にmyc tagで標識したdFosBおよびd2dFosB発現ベクターとdFosBと結合する3xFlag tagでラベルされたフラグメントをNeuro2A細胞に感染させ、抗Flag抗体で免疫沈降した後、抗myc抗体を用いてWestern blottingにて確認した。dFosBのN末端結合ペプチドをVenusと結合させた蛋白質とFosB をIRESでつないだ発現ベクターを作成し、AAVとしてパッケージングした後、側坐核に注入して、Social defeatおよびその後のコカインconditional place preferenceの実験を行い、dFosB とN末端結合蛋白質の相互作用の重要性を確認した。以上の実験により、dFosBがストレス後のコカイン依存性を上げるときに働く蛋白複合体の一部が明らかに出来ると考えられる。
2: おおむね順調に進展している
dFosBとd2dFosBの違いを反映した結合蛋白質を同定することが出来た。さらにその機能を追求することができつつある。ストレス後の依存症悪化の分子メカニズムは全く分かっておらず、非常に有益な実験結果であると考えられる。
dFosBと結合する蛋白質を複数同定し、どのような分子メカニズムで働いているのかを明らかにした上、さらにどのような細胞で働いているかをさらに深く調べていく。そのためにD1-cre, D2-creトランスジェニックマウスを用いる予定である。
側坐核に注入したAAVが同部位で発現していることを確認するために免疫染色をする。また、発現蛋白質の確認を細胞を使った発現実験で確認をし、内在性の遺伝子発現と比較する。FosBと2FosBのストレス後のコカイン依存性の違いが転写活性の違いに寄ることを確認するため、予想される結合転写因子と共に細胞に感染させて、標的遺伝子と期待される遺伝子プロモーターを用いて、過去の報告と同様にpromoter assayを行う。
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Neuropsychopharmacology
巻: 38(5) ページ: 895-906
doi:10.1038/npp.2012.260
Science
巻: 338 ページ: 124-128
DOI:10.1126/science.1222265