研究課題/領域番号 |
24591735
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
大西 克典 久留米大学, 医学部, 助教 (10626865)
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研究分担者 |
西 昭徳 久留米大学, 医学部, 教授 (50228144)
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キーワード | うつ病 / 薬物依存症 / 側坐核 / 転写因子 / fosB / AAV / 遺伝子改変マウス |
研究概要 |
うつ状態で薬物依存が悪化する分子メカニズムとして、側坐核の役割が大きいことをすでに見出しているが、そのkey moleculeとして、deltaFosBを見出し、その機能的役割を分子レベルで明らかにしようとしている。deltaFosBはうつ状態で減り、コカイン投与で増加することを我々は報告しているが、deltaFosB mRNAから翻訳されるN末端を欠損したdelta2deltaFosBとdeltaFosBが側坐核において異なる作用を持つことを見出したので、その違いであるN末端に結合する蛋白質をyeast two hybrid法によりいくつか見出し、それらとdeltaFosBとの結合を抑制することで、蛋白質蛋白質相互作用の役割を明らかにしつつある。その他にもdeltaFosBが結合する転写因子を新たに見出しており、その結合の役割についても明らかにしつつある。 delta2deltaFosBとdeltaFosBの転写に対する影響の違いを調べるためにプロモーターアッセイの準備をしており、その対象となるプロモーター下流にある遺伝子の発現がうつ状態にコカインを投与することで側坐核において増えることを確認している。 また、floxed fosB遺伝子改変マウスを樹立して現在解析中である。それとは別にfloxed deltaFosBマウスを作るためのコンストラクトも作製中である。 今後は細胞のタイプ特異的な役割を明らかにするため、AAV-DIOベクターを使った研究をする予定で現在コンストラクトは作製終了しており、AAVのパッケージングを待っている状態である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
うつ状態およびそれに続くコカイン投与による側坐核遺伝子発現の変化を調べたところ、当初の予想通り、deltaFosB標的遺伝子、および結合遺伝子の発現量が増えていることを見出した。さらに側坐核に投射しているドーパミン細胞のドーパミン放出量をマイクロダイアリシスにて計測し、予想外の結果を得ている。
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今後の研究の推進方策 |
細胞のタイプ特異的な発現調節はD1-cre, D2-creマウスの繁殖が思ったほど進まないため、AAV-Creと併用した新しい方法で取り組む予定である。合わせて、当初の研究計画にはなかったオプトジェネティクスを用いた行動実験にも現在取り組んでいる。
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次年度の研究費の使用計画 |
AAV作製依頼を海外に行う予定であるが、その依頼が遅れている分余剰金が生まれている。依頼するAAVの数は当初の予定より増えているので、結果的には足りなくなる可能性がある。 ノースキャロライナ大学、ペンシルバニア大学のウイルスコアにAAV作製を依頼する予定である。送料がかかるため、できるだけまとめて依頼するように調節している。
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