研究課題/領域番号 |
24591738
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 公益財団法人東京都医学総合研究所 |
研究代表者 |
細川 雅人 公益財団法人東京都医学総合研究所, 認知症・高次脳機能研究分野, 主席研究員 (00435116)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | TDP-43 / 認知症 / プログラニュリン / タウ / 前頭側頭葉変性症 / アルツハイマー病 |
研究概要 |
前頭側頭葉変性症の原因タンパク質として新たに見いだされたTDP-43と従来から知られていたタウ、アミロイドβ、α-シヌクレインなどのタンパク質との異常蓄積の相互関係を明らかにするために、タンパク質蓄積の重複という観点から、各種トランスジェニック(Tg)マウスを交配することにより、認知症疾患の根本的治療法開発の基盤となる新規認知症モデルマウスを作製する。作出したマウスを用いて異常タンパク質重複蓄積の病理機構を明らかにする。 (1)プログラニュリン:グラニュリン(GRN)-KOマウスとAPP Tgマウス、tau Tgマウスを交配して作製したAPP/GRN, tau/GRNマウスを用いて、PGRNの機能低下と、それがAβ蓄積、タウ蓄積に与える影響をイムノブロット・免疫組織化学染色により解析した。APP/GRNは加齢中・解析準備中であるが、Tau/GRNは同月齢のTau単独Tgに比べて、タウのリン酸化が早期から起こることを見いだした。またGRN減少の影響により不溶性画分中のタウの異常蓄積が加速したことを確認した。 (2) TDP-43:TDP-43 (M337V変異) TgマウスとAPP Tgマウス、tau Tgマウス、GRN-KOマウスを交配してAPP/TDP-43 (M337V), tau/TDP-43 (M337V), TDP-43 (M337V)/GRN+/-マウスを作製した。今後TDP-43の発現と、それがAβ蓄積、タウ蓄積に与える影響をイムノブロット・免疫組織化学染色により解析する予定である。 (3)ドキシサイクリン発現誘導型トランスジェニックマウスの作製:ドキシサイクリン発現誘導システムとカルモジュリンキナーゼIIa (CaMKIIa)プロモーターを用いることにより、前脳特異的にTDP-43やα-シヌクレインが発現するTgマウスを作製した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書には平成24年度におこなう予定であった3つの実験計画:(1)APP, tau及びAPP-tauの各Tg脳におけるAβとタウ蓄積に対するプログラニュリン機能低下(GRN-KO)の影響の解析 (2)TDP-43 TgとAPP, tau, APP-tau, GRN-KOとの交配による新規認知症モデルマウスの作製 (3)ドキシサイクリン誘導型TDP-43 Tgとα-シヌクレイン Tgの作製 を記載した。(1)においてはAPP/GRN, tau/GRNマウスの解析が進んでおり、tau/GRNに関しては原著論文を準備中である。(2)交配による新規認知症モデルマウスの作製においては、ダブルトランスジェニックマウスの作製が順調に進み、現在加齢中である。また、(3)ドキシサイクリン型TDP-43 Tgとα-シヌクレイン Tgの作製では、TDP-43のK263E変異1系統、ΔNLS変異4系統、Δ12変異1系統、α-シヌクレイン4系統の作製に成功し、現在タンパク発現量や発現部位を解析中である。
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今後の研究の推進方策 |
25年度以降、交配したマウスが解析に十分な月齢に達するので、脳におけるAβ、タウ、TDP-43異常蓄積を同月齢の単独Tgと比較して病変加速の有無を検討する。TDP-43異常がどのように他のタンパク質蓄積に影響を与えるかについて、イムノブロットを含めた生化学的解析や免疫組織化学染色により明らかにする。また、水迷路試験・高架式十字迷路試験を用いた認知機能に関する行動解析実験をおこない、合併例の方が認知機能障害が重度であることを確かめる。さらにヒトの病変を再現できるα-シヌクレインTgの作製を継続しておこない、TDP-43 Tgなどと交配して新たな重複マウスを作製する。
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次年度の研究費の使用計画 |
チューブ・チップなどのプラスチック類 200千円、免疫ブロット用抗体 200千円、免疫組織化学染色用試薬 100千円、生化学用試薬 200千円、系統維持用マウス購入費 300千円、PCR用試薬 200千円を予定している。
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