研究課題
認知症疾患の根本的治療法開発の基盤となる新規認知症モデルマウスを作製し、病理形成機序を明らかにすることを目的とした。グラニュリン(granulin: GRN)遺伝子変異は、タウ陰性・TDP-43陽性封入体蓄積を伴う家族性前頭側頭葉変性症において同定されたが、その後、様々なタウオパチーに関与している可能性が報告された。プログラニュリンの減少がタウに対してどのような影響を及ぼすかをP301Lタウ/GRN+/-マウスを作製して検討した。13、19ヶ月齢の脳を摘出し、イムノブロッティング及び免疫組織化学染色をおこなった。イムノブロッティングでは13ヶ月齢のP301Lタウ/GRN+/-マウスにおいて、P301Lタウマウスに比べ、トリス可溶性画分中のリン酸化タウ量が増加していた。また19ヶ月齢では、P301Lタウ/GRN+/-マウスにおいて界面活性剤不溶性画分中のリン酸化タウ量が増加していた。このリン酸化の亢進は、抗リン酸化基質抗体を用いたイムノブロッティングにより、cycline dependent kinasesの活性化によるものであると推察された。GRN遺伝子変異はタウオパチーの危険因子となる可能性が示唆された。本研究はJournal of Neuropathology and Experimental Neurology, 74(2): 158-165 (2015)に掲載された。また、これまでのTDP-43トランスジェニック(Tg)マウスに見られた出生後の障害を回避するために、ドキシサイクリンによるタンパク発現誘導型のTDP-43 Tgを作製し、後天的にTDP-43を脳内へ過剰発現させることに成功した。同様の方法でα-シヌクレインTgの作製もおこなった。両系統とも前脳特異的にタンパク発現することは確認できたが、現時点ではまだ凝集体形成などのヒト病理を再現できていない。
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