研究課題
A.脳梗塞患者における抑うつ状態、神経画像および免疫炎症反応の解析我々は脳梗塞後の抑うつ状態の程度と、白質微小構造の変化、免疫炎症反応の影響について検討を行った。18名の亜急性期脳梗塞患者と22名の健常被験者に対して、HAM-Dによる抑うつ状態の測定ののち、MRI-DTI撮像を実施し、両群の白質fractional anisotropy (FA)値を検討した。同時に末梢血中のリンパ球動態を検討した。半年後に再度、MRI-DTI撮像を実施した。脳梗塞患者において両側内包領域を中心に、FA値の低下で示される白質損傷がみられた。半年間でFA値の有意な増大で示される白質損傷の改善を認め、その改善の程度が抑うつ状態改善に相関していた。末梢血中regulatory T lymphocytes (Treg) が減少し、減少の程度が白質FA値減少(脳損傷増大)に関連した。脳梗塞に伴う内包領域損傷は、抑うつ状態の発現につながり、さらに、うつ状態をもたらす脳梗塞後の器質的損傷の緩和にTregによる免疫炎症反応の抑制が治療的に関与する可能性が示された。B.脳梗塞後マウスモデルにおける神経再生とうつ病態に関する研究脳梗塞患者において血中免疫・炎症細胞群の動態が、脳梗塞後の神経再生・可塑性を障害している可能性について検討した。Glucocorticoid誘導性のtumor necrosis factor (TNF)受容体:GITRは、免疫の調節因子であるが、CD4(+)T細胞上に発現する。脳梗塞マウスモデルによる実験から、CD4(+)T細胞の中でも、CD4(+)GITR(+)T細胞が脳梗塞後の神経再生を妨げる主要な因子であることが示された。脳梗塞患者においてT細胞を介した免疫・炎症反応の動態が、うつ病態と関連の疑われる神経再生障害に影響を及ぼすことがマウスモデルにおいても裏付けられた。
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