研究課題/領域番号 |
24591743
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
加藤 千恵次 北海道大学, 大学院保健科学研究院, 教授 (10292012)
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研究分担者 |
吉永 恵一郎 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任教授 (30435961)
真鍋 治 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40443957)
真鍋 徳子 北海道大学, 大学病院, 講師 (70463742)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | MRI / 心筋血流定量 / コンパートメントモデル解析 / PET |
研究概要 |
【目的】MRIを用いた心筋血流量(MRI)を推定する研究が注目されている。しかし、心臓の動きにより関心領域内(ROI)を正確に取ることが難しい。そこで、シングルコンパートメントモデルに関心領域内成分抽出アルゴリズムを追加し、定量性の確立されている15O標識H2O心筋PETを用いて、その有用性の評価を行った。 【方法】正常男性20人(28.4±0.19歳)を対象とした。MRI装置は Philips社製Achiva 3.0T、PET装置はSiemens社製のECAT HR+を用いた。心臓MRI perfusionと酸素15標識H2O PETを施行し、安静時検査、アデノシン三リン酸(ATP)による負荷検査を行った。関心領域内成分抽出アルゴリズムを用いた場合と用いない場合において、MRIの時間-信号曲線より得られたK1値をRenkin-Croneモデルに当てはめK1値からMBFを算出した。 【結果】心筋PETでのMBFは安静時0.92±0.17 ml/min/g、負荷時 3.04±0.84 ml/min/gであった。関心領域内成分抽出アルゴリズムを用いない場合、MRIでのMBFは安静時0.41±2.43 ml/min/g、負荷時2.43±0.88 ml/min/gとなり、PETとの相関はr=0.66となった。また、関心領域内成分抽出アルゴリズムを用いた場合MBFは安静時1.05±0.67 ml/min/g、負荷時3.19±1.15 ml/min/gであり、PETとの相関はr=0.90となった。関心領域内成分抽出アルゴリズムを用いた場合は相関が優位に改善した(p<0.05)。 【結論】3.0T MRIを用いた心筋血流定量法として関心領域内アルゴリズムを考案し、酸素15標識H2O PETによる定量値と比較し、そのアルゴリズムの有用性を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
25年度に実施すべき虚血性心疾患症例のダイナミックMRIデータと冠血管造影検査データの0収集が完了しており、24年度に作成した健常人の心筋血流定量プログラムに数か所の集積を施すことで虚血性心疾患の定量評価が可能と推定する。25年秋期開催の日本核医学総会への演題提出、26年6月開催予定の米国核医学会に間に合うと考えています。
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今後の研究の推進方策 |
虚血性心疾患症例のダイナミックMRIデータによる虚血性心疾患の定量評価プログラムを、北海道大学の産学連携本部を介して北海道大学職務発明をめざし、可能であれば今後もMRIおよびCTによる各臓器の機能定量評価プログラムを核医学の手法を用いて開発を継続する。
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次年度の研究費の使用計画 |
心筋梗塞症例での3コンパートメントモデル解析を試みる。このプログラムは上記の健常者データ解析用の2コンパートメントモデルプログラムに少しの変更と修正を加えれば実現可能と考える。病変部の血流量はK1から上記の数式を利用した算出値が妥当か、さらに虚血および梗塞心筋への集積速度定数k3が上昇しているか検討する。 最終的にMRI perfusion image データから局所および心内膜下血流を自動的に測定し、 さらに梗塞病変を定量的に評価するk3も自動算出するプログラムを完成させる。 平成24年度は学会が札幌で開催されたため、学会出張旅費を使用しませんでした。 平成25年度に、その学会出張旅費を使用予定です。
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