平成25年3月に東北大学倫理委員会で承認を得られた研究計画に基づき、健常被験者を対象とした3T MRIによる膵血流の画像化を行う為の撮像条件の検討を開始した。 消化管の蠕動によるアーチファクトの影響を避けるため、撮像開始2時間前の絶飲食とし、蠕動の影響は軽減されたが、それでも3T MRIでのASL法ではアーチファクトの影響が大きく、ラベリングを行う断面を変更した。 研究当初に使用を予定していた撮影装置では断面の変更が困難であったため、断面の変更可能な撮影装置に変更し新たに撮像条件を設定した。腹部実質臓器の血流解析に関連した文献検索を新たに行い、膵血流解析に必要な撮像条件を検討した。撮影装置の変更で、絶飲食の時間や撮影のパラメーターに変更は要しなかったが、ラベリングの断面は頭部、体部および尾部で異なる断面を必要とした。このため、被験者の撮像開始にあたり、一回に要する撮影時間を考慮して膵尾部血流の画像化を先行し、脾臓・腎臓の血流像を対比することで画質評価を行った。 各被験者で膵血流解析の為の撮影を膵頭部・尾部・体部について別々に行った。1名につき3回の撮影を必要としたため、6名の被験者で撮影を行った。初回の撮影では被験者間の撮影で得られた計測値が被験者間で差が大きく、1ヶ月空けて再撮影を行った。頭部はラベリングの断面を複数設定して撮影を試みたがアーチファクトの影響が大きく、再撮影は体部・尾部のみ実施した。平成26年12月に全体の撮影を終了とした。解析の結果今回の検討では膵体部は 216 +/- 56 mL/100g/min 尾部の血流は 148 +/- 35 mL/100g/minと計測された。 成果発表を2015年6月にパリで開催されたヨーロッパ腹部放射線学会で行った。
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