研究課題/領域番号 |
24591745
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
金田 朋洋 東北大学, 大学病院, 講師 (50323019)
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研究分担者 |
岡村 信行 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40361076)
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キーワード | 認知症 / アルツハイマー病 / 画像診断 |
研究概要 |
アルツハイマー病(AD)をはじめとする認知症の画像診断においては、症例の画像を正常データベースとvoxel単位で比較する画像統計解析が広く用いられている。これまでは脳血流SPECTや、FDG PETによる糖代謝画像が主として解析されてきた。近年、PETを用いた アミロイドイメージングが目覚ましい発展と普及を見せているが、この画像統計解析は今後の課題である。統計解析手法としてはこれまでワシントン大学MinoshimaらのNeurostat(3D-SSP)およびWellcome Trust CentreのFrisonらによるSPMが広く用いられてきた。これらの基本的な概念は共通しているが、細部では異なる点が多く、それぞれ優れた特長を有する。本研究ではこれら2つの解析手法を比較しつつ、適宜、プログラムやパラメーターの変更や追加を加えることで、アミロイドPETイメージングにおける最適な画像統計解析手法の確立を目指す。 本研究では東北大学で施行した健常者・軽度認知障害患者・アルツハイマー病患者に対するBF-227 PETによるアミロイドイメージング画像の解析を行った。統計画像解析をSPMとNeurostatいう異なる解析プログラムを用いて試みたり、解剖学的標準化に主として血流を反映する早期像を用いる方法を考案し、検証した。同一患者の早期像を利用することで、アミロイドPET解析にFDG templateを用いることが可能となる。またSPMとNeurostatによる解析結果の違いから、両者の特徴が洗い出され、より正確な統計画像解析法の開発が期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
健常者21例、軽度認知障害(mild cognitive impairment; MCI)患者20例、Alzheimer病(Alzheimer’s disease; AD)患者19例の画像を解析した。前年度に施行したBF-227 PET画像の3D-SSPに基づいた方法と、SPMを利用したソフトウェアであるeasy z-score imaging system(eZIS)による解析結果の違いから、頭蓋骨集積や白質集積が解析エラーを起こす主因と考えられ、解析前に頭蓋骨集積を除去しておくこと(”scalping”)や、白質の非特異的集積が出にくいタイミングでの画像を用いるといった工夫により、解析エラーをを回避できる可能性がある。また近年、アミロイドイメージングにおける早期像が血流や糖代謝画像に類似していることが報告されている。BF-227のPET画像においても投与後0-10分程度の画像は、皮質に強い集積亢進が見られ、FDG PET画像や脳血流SPECT画像に類似していることが確認できた。そこで同一症例のBF-227 PET検査における早期像を利用した解剖学的標準化の方法を考案し、実行した。その結果、Neurostatに標準装備されているFDG templateを用いた解剖学的標準化が問題なく施行できることがわかり、従来のアミロイドPET解析におけるエラーを回避する新たな方法を見出すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの解析により、3D-SSPとSPMに基づいた方法とでBF-227 PETの解析結果に乖離が生じるがわかり、白質や頭蓋骨骨髄への非特異的集積がそのような乖離を生じる要因である可能性が考えられた。解析前に”scalping”を行うことで頭蓋骨集積の影響を除去したり、白質の非特異的集積が出にくいタイミングの画像を用いることで、解析エラーを低減できる可能性が示唆された。今後、より正確な統計画像解析のためには分解能補正が重要となるのではと考えている。PETはMRIに比べて分解能が桁違いに悪いため、画像はどうしても輪郭が不鮮明なぼやけたものになってしまう。そこでMRIの画像を利用して、PET画像の辺縁部におけるボケを低減する手法がいつくか考案されてつつあるので、検討していきたい。さらにアミロイドPETにおける早期像を用いた解剖学的標準化は、FDG PET検査を追加する費用と労力を軽減することができることに加え、同一検査内で得られる早期像と後期像を用いるため、画像のmisregistrationが起こりにくいメリットを有する。また早期像は主として血流情報を反映することから、従来の脳血流SPECTを用いた認知症診断に応用できる可能性がある。さらに血流と糖代謝はcouplingすることが知られており、FDG PETを用いた診断にも応用可能かもしれない。今後の検討課題としたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
解析ソフトウエアの最新OSへの対応が遅れていたため、25年度時点で最新のPC購入を控えたため。 最近、解析ソフトウエアNeurostatが最新OSに対応したため、26年度に最新のPCを購入し、解析の効率化を目指す。
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