研究課題
アルツハイマー病(AD)をはじめとする認知症の画像診断においては、症例の画像を正常データベースとvoxel単位で比較する画像統計解析が広く用いられている。近年、PETを用いたアミロイドイメージングが目覚ましい発展と普及を見せているが、この画像統計解析は今後の課題である。統計解析手法としてはこれまでNeurostat(3D-SSP)およびSPMが広く用いられてきた。これらの基本的な概念は共通しているが、細部では異なる点が多く、それぞれ優れた特長を有する。本研究ではこれら2つの解析手法を比較しつつ、適宜、プログラムやパラメーターの変更や追加を加えることで、アミロイドPETイメージングにおける最適な画像統計解析手法の確立を目指す。本研究では東北大学で施行したBF-227 PETによるアミロイドイメージング画像の画像統計解析を、SPMとNeurostatを用いて試みた。その結果、健常者の24%(21例中5例)、MCI患者の45%(20例中9例)、AD患者の68%(19例中13例)で両解析結果に乖離が見られた。そのような乖離を示した例のうち、eZISよりも3D-SSPでより強い異常を示した例が6例あり、うち4例で白質集積が相対的に高かった。一方、12例では3D-SSPに比べてeZISでより強い異常を示し、9例では脳表の限られた領域において3D-SSPよりもeZISでより強い異常を示した。これら21例のうち13例ではSPM2による解剖学的標準化のエラーを生じており、その全ての例で頭蓋骨集積が高かったが、これらの 例では解析前に頭蓋骨集積を除去しておくこと(”scalping”)によって、eZISの解析結果への頭蓋骨集積の影響を回避することができた。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)
Tohoku J Exp Med
巻: 234 ページ: 175-181