研究課題/領域番号 |
24591746
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
田村 元 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20333817)
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研究分担者 |
大田 英揮 東北大学, 大学病院, 助教 (40586905)
中村 保宏 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80396499)
吉村 紳一 岐阜大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40240353)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 動脈硬化 / 動脈プラーク / MRI / 縦緩和時間 / 拡散係数 / プラークイメージング |
研究概要 |
今年度の研究遂行計画において最大の目標は、MRI-virtual histologyを作成するために必要なMRI撮像シークエンスを確立させること、および、得られたデータを処理するためのソフトウエアを作成することであった。臨床応用可能なシークエンスの条件は、(1)撮像時間が短時間、(2)高空間分解能であり、(3)複数スライスを撮像可能なものである。さらに、他施設においても導入可能なシーケンスでなければならない。 これまでに、岐阜大学医学部附属病院と連携して、東北大学、岐阜大学で同一の、以下のシーケンスをインストールすることができた。 緩和時間T1測定用シーケンス: (1) 撮像時間 8分弱。(2) 画像ボクセルサイズ 0.625×0.625×2.2 mm。 (3) 画像スライス8枚。 拡散定量用シーケンス: (1) 撮像時間 5分余。(2) 画像ボクセルサイズ 1.23×1.25×2.2 mm。 (3) 画像スライス8枚。 ファントムとデータ処理ソフトウエアを作成し、反転高速スピンエコー法と比較して、新しい緩和時間T1測定用シーケンスの妥当性を検証した。基本的なT1測定の研究結果を論文 (Shimada K et al. Magn Reson Med Sci Vol. 11, No. 4, 265-271, 2012) として出版した。また、緩和時間T1測定用シーケンス、拡散定量用シーケンスとも、実際にボランティアを撮像し、画質評価を行いながらシーケンスを改良した。シークエンスの開発、基礎的検討については、第40回日本磁気共鳴医学会 (2012年9月)に「頚部頚動脈プラーク内出血の拡散定数定量化の試み」と題して発表した。この発表後も、拡散定量用シーケンスにさらに改良を加えて、最終的には上記の東北大学、岐阜大学で同一のものとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
東北大学で1度シークエンスを作成した後、実際に頚動脈プラークを有する患者を撮像していったが、実際に得られる画質の評価やシーケンスの導入に関する岐阜大学との協議などによって、シーケンスの改良が必要と判断し、新たなシーケンスを確立したのが、2013年2月になってしまったため。
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今後の研究の推進方策 |
確立したMRIシーケンスを使用し、東北大学病院と岐阜大学医学部附属病院において頚動脈プラークを有する患者を撮像していく。東北においては、東北大学病院にてMRIが撮像され、広南病院で頚動脈内膜剥離術が施行された後、標本は東北大学病院病理部にて解析する。岐阜では、岐阜大学附属病院にてMRIが施行され、同大学脳神経外科にて剥離術、組織は同大学病理学教室にて解析される。組織標本とMRIを対比するため、MRI画像、組織切片共に体軸に対して垂直の水平断で作成する。MRIと組織標本のスライスを合わせ、組織標本で確認されたプラーク構成要素の分布と、MRI定量値の分布を対比することで、プラーク構成要素の緩和時間、拡散係数を求める。平成25年度からは東北大学病院病理部の渡辺みか氏にも研究分担者に加わって頂き解析を効率化する。
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次年度の研究費の使用計画 |
MRIの国際学会 (ISMRM) が年度の早い時期に行われるため、平成24年度において参加せず、25年度に参加することにした。ISMRMに参加し情報収集とこれまで得られた成果の発表を行うため次年度繰越の研究費を使用する。また、年度末近くにデータ処理用のワークステーションを購入したが、モニターをまだ購入していない。とりあえず既存の小さなモニターを使うことが出来たためであり、次年度には作業が本格化するため、より大きなモニターで仕事をする必要があり、繰越の研究費によって購入する予定である。
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