研究課題/領域番号 |
24591748
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
山田 圭一 群馬大学, 理工学研究院, 助教 (70323334)
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研究分担者 |
山口 藍子 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 寄付講座等教員 (80609032)
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キーワード | 環状ペプチド / トリプルネガティブ乳がん / 放射性臭素 / 細胞毒性 |
研究概要 |
本年度は、親ペプチドであるSA-I(cyclo[Phe(4-I)-Leu-MeLeu-Val-Leu])中の疎水性アミノ酸残基(Leu及びVal)を極性アミノ酸やD-アミノ酸で置換した環状ペプチドアナログ体を10種類合成した。また、培養トリプルネガティブ乳がん細胞(MDA-MB-231,MDA-MB-157)に対する細胞毒性評価と細胞死メカニズムの解明に向けた研究を行い、以下の知見を得た。 1.懸案事項であった合成収率の改善について鋭意検討した結果、環化に最適な一次配列を見いだすことができ、逆相HPLCによる副生成物除去に適した分離条件を確立することができた。これらの知見を踏まえ、次年度は副生成物を生じない合成法の検討(具体的にはFmoc法による合成)を進める。さらに前年度の成果をもとにSA-Iを出発物質とした標識前駆体合成プロセスを確立し、実際の標識化実験につなげていく。 2.合成したアナログ体10種類の生物活性評価を行った結果、残念ながら全て親化合物と比較して細胞毒性が低下することが分かった。今後は、SA-I中のPhe(4-I)残基やMeLeu残基のN-メチル基を親水性官能基で置換した化合物を合成し、引き続き活性評価を行っていく。一方、親化合物のSA-Iの細胞死誘導機構についても研究を行った結果、アポトーシスやネクローシスなど既知の細胞死とは異なる機構で細胞死を誘導するという予期せぬ新知見を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通り環状ペプチドアナログ体を合成し、これらのアナログ体の生物活性を明らかにすることができたため
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究にてSA-I中のLeu及びValを置換すると活性が著しく低下することが分かったので、それ以外のアミノ酸残基の置換による親水性付与の可能性を検討していく。また、計画にある親化合物の構造改変による親水性付与が困難だと判断された場合には、SA-Iそのものを親水性単分子ミセルなどの薬物キャリアに封入して薬物動態を調査することも考えている。また、上記研究と並行して細胞死誘導機構に関する研究を展開する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度、動物実験用に物品費を計上し、分担研究者に配分していたが、活性を維持した水溶性前駆体の合成が遅れたことにより行わなかったので未使用のままになっている。 次年度には標識実験と担癌マウスを用いた実験を行う予定であり、今年度の繰り越し分と分担研究者に配分した次年度分を合算して上記研究に必要な物品購入のために使用する。
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