研究課題/領域番号 |
24591749
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
長嶺 竹明 群馬大学, 保健学研究科, 教授 (90180520)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | インターフェロン |
研究概要 |
難治性C型慢性肝炎に対するペグインターフェロンとリバビリンの2剤併用による治癒率は40%程度であるが、貧血などの副作用も高齢者、特に女性に多く出現する。本研究では、インターフェロン治療による貧血の病態解明を目的に、赤血球内元素分布の変動を大気マイクロPIXE分析システムを用いて測定した。 対象:C型慢性肝炎患者のうち、インターフェロン+リバビリンの2剤併用療法7例、および健常者4例を対象とした。方法:PIXE測定用試料はオルテガ変法で作成した。①全血500 μLに等量の生理食塩水を加え、遠心(1,400 rpm、 5分間)し、上清を除去して血球成分のみとする、②液体窒素で--150 °Cに冷却したイソペンタンに、血球を滴下したマイラー膜を入れて凍結、③1.0 × 1.0-21 Torrで血球を24時間乾燥させた後、マイラー膜上に固定した。得られたサンプルを大気マイクロPIXEにて測定し、得られたデータを検討した。成績:健常者では、各元素とも赤血球内に小顆粒状に分布していた。インターフェロン+リバビリン治療中の赤血球では、Cl,K,Sは斑状に集簇する傾向をみとめた。Na,K,Pは小顆粒状のまま、細胞辺縁に分布する傾向を示した。Feの分布は、健常者では細胞全体に小顆粒状に分布するが、インターフェロン+リバビリン治療では細胞の周辺に分布する傾向を示した。 結論:インターフェロン+リバビリン治療によって、赤血球の元素分布は細胞の辺縁へ分布する傾向を示した
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ペグインターフェロン+リバビリン併用療法では貧血の副作用が高頻度に合併する。貧血の副作用は重篤であり、治療効果にも大きく影響するが、その病態はいまだ解明されていない。 我々は、ペグインターフェロン+リバビリン併用治療中の患者の赤血球の元素分布を測定し、貧血の病態解明を試みた。その結果、元素が血球周辺に分布する傾向を証明した。しかし、マイクロPIXEによる元素分析は定量法が確立されていないため、元素の増減に関する成績が得られていない。 したがって、平成24年度の達成度は70%と判定する。
|
今後の研究の推進方策 |
難治性C型慢性肝炎に対するペグインターフェロン+リバビリン+テラプレビルの3剤併用療法では、治癒率が70%以上と高率であるが、貧血などの副作用も高頻度で、かつ重症化する。 本研究では、ペグインターフェロン単独療法群、ペグインターフェロン+リバビリン併用群とペグインターフェロン+リバビリン+テラプレビルの3剤併用群の赤血球元素分布の変動を、大気マイクロPIXE装置で測定することにより、ペグインターフェロン+リバビリン+テラプレビルの3剤併用療法で重篤化する貧血の解明を行う。
|
次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度に予定していた学会出張が中止となったため、約47万円が残った。 残金は25年度分と合わせて下記のように使用する。 免疫染色1式 500,000 細胞培養1式 400,000 研究補助(1名)252,660 学会出張(海外)400,000
|