研究課題/領域番号 |
24591752
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
五島 聡 岐阜大学, 医学部附属病院, 助教 (90402205)
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研究分担者 |
兼松 雅之 岐阜大学, 医学部附属病院, 准教授 (40252134)
近藤 浩史 岐阜大学, 医学部附属病院, 講師 (20324311)
渡邊 春夫 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 非常勤講師 (30456529)
川田 紘資 岐阜大学, 医学部附属病院, 医員 (00585276)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 肝 / 肝硬変症 / 肝細胞癌 |
研究概要 |
プロトタイプのソフトウェアを作成し、一般的なDICOM画像参照Viewerにプラグインすることで、肝臓辺縁輪廓の自動抽出を可能とした。各種の画像モダリティにて検討を行った結果、EOBプリモビスト造影3次元T1強調グラディエントエコー画像が最も肝臓コントラストに優れ、正確な輪廓抽出が可能であった。他のCTや非造影MRI画像における輪廓抽出ついては現在も改良中である。本ソフトウェアの抽出した輪廓線から得られる肝線維化指標(HFI: Hepatic fibrosis index)とすでに組織学的に肝線維化程度が証明されている100例のデータでの解析では、肝線維化F3以上を感度98%、特異度99%で検出可能であった。 本研究にて容易に算出が可能となったHFIを用いて、すでに撮像されている98症例のC型肝炎患者のMRI画像を用いてretrospectiveに解析を行った。98症例中、54症例に肝細胞癌を認め、残り44名では肝細胞癌を認めなかった。2項ロジスティック解析ではHFI = 0.395をカットオフ値として、HFIが高い群では有意に肝細胞癌の発癌が多く、オッズ比は26.4であった。この結果から、肝臓辺縁の形態変化を指標とするHFIは非常に重要な定量的かつ客観的な肝細胞癌のリスクファクターとして考えられた。本研究の結果は全く無侵襲な客観的方法にて肝細胞癌の高リスク患者を判別する非常に優れた方法であり、汎用性も高く、C型肝炎患者の管理に大きく寄与する可能性が高い。本内容は2013年4月の第72回日本医学放射線学会総会での肝臓シンポジウムにて研究代表者が演者として発表の予定である。また、2013年12月に米国シカゴで開催される北米放射線学会へも演題を投稿している。 本研究は引き続き研究計画書に沿って、フォフトウェアの改良と共に次なるprospectiveな検討に移る予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
EOBプリモビスト造影MRI画像以外でのソフトウェアの精度向上については難航しているものの、MRI画像では本研究内容による辺緑解析により算出されるHFIが肝細胞癌の発癌に対する重要かつ高い予測因子であることがすでに判明した。この臨床応用は当初の計画では2年次以降に行う予定であったが、MRI画像でのソフトウェア開発が順調に進展したことにより解析を早めることが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
現在までに行ったretrospectiveな解析ではHFIは肝細胞癌発癌の有用な予測因子であることが証明された。25年度以降は同様の検討をprospectiveに行う。さらにHFIにより算出される数値をgrade化し、各grade毎での年間発癌率、患者予後、インターフェロン治療による効果について検討を重ねる。いずれの検討も複数回行い、HFI算出による験者間、モダリティ間の一致率、再現率についても検討し、より客観性の高い検査法を確立する予定である。 また、現在までの課題であるEOBプリモビスト造影MRI画像以外の画像モダリティについても同様の検討が行えるよう辺緑輪廓抽出のためのソフトウェアを改良する。
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次年度の研究費の使用計画 |
アルゴリズム作成のために購入予定であったワークステーションは、より安価なパーソナルコンピュータで代用可能であったため、324,372円を次年度に繰り越した。 次年度では本研究の最終結果まとめ、汎用性の高いソフトウェアを構築する。最終結果については日本医学放射線学会総会および北米放射線学会での発表と当該分野のtop journalへの論文投稿を予定しており、これを研究費の主な使用目的とする。
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