研究課題/領域番号 |
24591752
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
五島 聡 岐阜大学, 医学部附属病院, 助教 (90402205)
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研究分担者 |
兼松 雅之 岐阜大学, 医学部附属病院, 准教授 (40252134)
近藤 浩史 岐阜大学, 医学部附属病院, 講師 (20324311)
渡邊 春夫 岐阜大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員教授 (30456529)
川田 紘資 岐阜大学, 医学(系)研究科(研究院), 非常勤講師 (00585276)
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キーワード | 肝細胞癌 / 肝硬変症 |
研究概要 |
現在までにプロトタイプのソフトウェアを作成し、DICOM画像参照Viewerにプラグインすることで、肝臓辺縁輪廓の自動抽出することで、多くのデータを扱うことを可能とした。これまでにEOBプリモビスト造影3次元T1強調グラディエントエコー画像では正確な輪廓抽出が可能であったため、その他の画像モダリティーを用いる判定にはアルゴリズムを改良する必要があるが、現段階では特にCT画像では画像そのもののコントラストが不良であり、横隔膜と肝輪廓との分離が困難であった。他のCTや非造影MRI画像における輪廓抽出ついては現在も改良中である。 昨年までに本ソフトウェアの抽出した輪廓線から得られる肝線維化指標(HFI: Hepatic fibrosis index)を用いて、98症例のC型肝炎患者のMRI画像を用いてretrospectiveに解析を行っている。98症例中、54症例に肝細胞癌を認め、残り44名では肝細胞癌を認めなかった。2項ロジスティック解析ではHFI = 0.395をカットオフ値として、HFIが高い群では有意に肝細胞癌の発癌が多く、オッズ比は26.4であった。肝臓辺縁の形態変化を指標とするHFIは非常に重要な定量的かつ客観的な肝細胞癌のリスクファクターとして考えられ、本研究結果は欧文原著として投稿中である。本内容は2013年4月の第72回日本医学放射線学会総会での肝臓シンポジウムにて研究代表者が演者として発表している。現在ではすでに撮像されいるEOB造影MRI検査画像を用いたprospectiveな検討に至っており、肝細胞癌を有しない患者の画像からHFIを計測し、5年間の追跡にて肝癌の発生率の差を確認する検討に移っている。これまでに21人についてデータの収集が進んでおり、26年度中には完成に至る予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
EOB造影剤は2009年に本邦で発売開始となってから5年が経過したため、最大で5年間の追跡調査が可能である。初期に撮像したMRI画像は撮像シーケンスが成熟していなかったものもあり、解析できる画像に限りがあるが、当初の予定通り、最終年にはProspectiveな解析に以降することができた。
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今後の研究の推進方策 |
すでにretrospectiveな解析ではHFIは肝細胞癌発癌の有用な予測因子であることが証明された。本年度はHFIにより算出される数値をgrade化し、各grade毎での年間発癌率、患者予後、インターフェロン治療による効果などの様々な臨床背景因子との関連性について検討を重ねる。最終目標は慢性肝疾患患者のスクリーニングツールとしてHFIを用いることであり、無侵襲で効率的に肝細胞癌の高リスク患者を分離できることを目指している。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度中はアルゴリズムの改良や症例収集などの作業を中心に進めたため、データ記憶媒体や統計ソフト購入に予算を使用した。 次年度ではより多くの臨床データを扱うため、さらにデータ保存用記憶媒体の購入が必要となる。また、複数の共同研究者や協力者が同時に多くのデータ解析を行い、さらには計測者間での再現性の検討にも移るため、数台の計測解析用PCを購入する予定である。また、最終年度として北米放射線学会(2014年12月シカゴ)にて研究内容を発表する予定とする。
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