研究課題/領域番号 |
24591753
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
吉村 公美子 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教務職員 (90419151)
|
研究分担者 |
二橋 尚志 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (00426496)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 液晶モニタ / タブレット / モニタ診断 |
研究概要 |
本研究は,モニタによる画像診断(モニタ診断)に用いるモニタの性能を評価し,診断に適したモニタの基準を得ようとするものである。 ①モニタの物理的測定,②ファントム画像による認知心理学的なシミュレーション読影実験,③臨床画像による読影実験を行い,これらの結果からモニタ診断にタブレットPCを含めた汎用モニタを用いることの医学的な信頼性を検証する。 平成24年度は,研究目的の「①モニタの物理的測定」及び「③臨床画像による読影実験」を行い,さらに追加実験の検討と準備を行った。①の物理的測定では,モニタのコントラスト分解能・空間分解能・ノイズ特性について測定し,医療用高精細モニタ(以下,医用モニタ)とタブレット端末を比較した。タブレット端末は全ての測定項目で,医用モニタに勝る測定結果だった。③の臨床画像による読影実験で,頭部CT画像の脳梗塞の診断について医用モニタとタブレット端末を比較した。この2種類のモニタでは,診断能の差が小さく,統計的な有意差は認められなかった。この実験は,診断の難しい急性期脳梗塞の画像の症例数が少なく,病巣の見つけやすい陳急性脳梗塞の画像が多かった。現在は,急性期脳梗塞の診断の検討を行うための準備中である。 平成25年度は,追加実験として頭部CT画像の急性期脳梗塞の診断についての読影実験を行う予定である。この実験に研究目的②の認知心理学的な読影実験の手法を取り入れることを検討している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度は,研究目的の「①モニタの物理的測定」及び「③臨床画像による読影実験」を行い,さらに追加実験の準備を行った。医用モニタ及びタブレット端末としてiPadを比較に用いた。 実験A モニタの物理的測定: (1)輝度計を用いてモニタの輝度を実測し、モニタごとのコントラスト分解能を測定した。(2)空間分解能の測定法を調べ,各モニタの空間分解能の測定を行った。(3)研究計画時には予定の無かった,ノイズの評価を行うため,ノイズの測定法を調べ,現在測定中である。これらのデータ解析から医用モニタとiPadを比較し,iPadによる診断の可能性を検討し,研究成果の発表を準備している。 実験B 臨床画像による読影実験:頭部CT画像による脳梗塞の診断についての読影実験を行い,研究成果の発表を行った。医用モニタとiPadでは,診断能の差は小さく,統計的に有意な差も認められなかった。この実験は,診断の難しい急性期脳梗塞の画像の症例数が少なく,病巣の見つけやすい陳急性脳梗塞の画像が多かった。現在は,急性期脳梗塞の診断の検討を行うための準備中である。 研究目的の達成度については,進んでいるところもあれば,遅れている部分もある。研究目的の「②ファントム画像による認知心理学的なシミュレーション読影実験」については,モニタ診断は臨床画像による評価を行うことが重要であるため,それを優先していることにより,現在は進めていない。
|
今後の研究の推進方策 |
今後も引き続き研究目的の「①モニタの物理的測定」及び「③臨床画像による読影実験」を中心に研究を行っていく。 研究目的「①モニタの物理的測定」は,データ解析を続け,研究成果の発表を行う。 研究目的「③臨床画像による読影実験」は,追加実験の準備を引き続き行う。 研究目的「②ファントム画像による認知心理学的なシミュレーション読影実験」については,③の読影実験で,認知心理学的な手法を取り入れることを検討する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
研究目的「③臨床画像による読影実験」の追加実験は,実験に専用のソフトウエアを発注する予定である。ソフトウエアの開発は費用がかかるが,可能な限り自身でも作業を行い,最小限になるよう進めていく。当初の研究計画ではソフトウエアの開発は含まれていなく,この費用のために今年度の支出を最小限となるようにした。次年度には,研究が進みソフトウエアの開発を行う予定である。
|