研究課題/領域番号 |
24591755
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
磯田 裕義 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (20309214)
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研究分担者 |
富樫 かおり 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90135484)
田浦 康二朗 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80378629)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 核磁気共鳴画像 / IVIM / 血流 / 肝移植 |
研究概要 |
まず男女健常ボランティアにおいて、肝静脈を選択的に描出できるようなTagパルスを設定した非造影MR肝静脈血流washout画像をいくつかの条件で撮像、その画質を評価した。またinversion時間を変化させた非造影MR肝静脈血流washout画像も撮像し、各inversion時間で撮像された画像を組み合わせて差分画像も作成し、肝静脈血流のみを反映した肝血流情報が得るのに最適なinversion時間と差分画像の方法も検討した。 その結果、(1)肝辺縁領域における肝実質の血流情報を得るには、最短のTR時間・TE時間・90度以上のFlip Angleでの撮像が適しており、1200mesec.以上のinversion時間が必要であること、(2) 1.5 T MR装置では信号雑音比が低いため、肝静脈自体の描出は良好であるものの、肝実質の信号変化は十分ではないので、薄い撮像スライスでは良好な画質が得られないこと、(3) 1200mesec.の以上の長いinversion時間による撮像では、肝実質の信号が回復してしまうので、肝静脈血流のwashoutによる信号低下と肝実質の信号回復による信号上昇とが相殺され両者の区別が困難であること、(4)単なる差分画像では、アーチファクトが目立つことが判明した。1.5 T MR装置で非造影MR肝静脈血流washout画像を得るにはいくつかの問題点をクリアする必要があると考えられた。 そこで本年度より3 T MR装置で、再度肝臓における非造影MR肝静脈血流washout画像の至適撮像条件の検討することとなった。3 T MR装置は、信号雑音比が高く、T1時間も延長し肝実質の信号回復も小さいので、1.5 T MR装置での非造影MR肝静脈血流washout画像撮像で問題となった点を解決できる可能性があると思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初から非造影肝静脈血流washout画像における至適撮像条件は24年度だけでは確立できないのではないかと予測していた。特定の肝静脈血流速度、血流方向を反映させた非造影MR肝静脈血流washout画像や特定の領域における肝静脈うっ滞に関しては、Tagパルスの設定部位や最適なinversion時間を含めた至適撮像条件の設定が難しい。 さらに1.5 T MR装置では信号雑音比が低いため、肝静脈自体の描出は良好であるものの、肝実質の信号変化は十分ではないので、薄い撮像スライスでは良好な画質が得られないこと、1200mesec.の以上の長いinversion時間による撮像では、肝実質の信号が回復してしまうので、肝静脈血流のwashoutによる信号低下と肝実質の信号回復による信号上昇とが相殺され両者の区別が困難であること、単なる差分画像では、アーチファクトが目立つことが判明した。1.5 T MR装置で非造影MR肝静脈血流washout画像を得るにはいくつかの問題点があるため、非造影MR肝静脈血流washout画像の至適撮像条件の確立が遅れていると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
非造影MR肝静脈血流washout画像の至適撮像条件の確立がまず優先されるので、研究の2年目にあたる平成25年度には、3 T MR装置で、再度肝臓における非造影MR肝静脈血流washout画像の至適撮像条件の検討する。 続いて生体部分肝移植術後に肝障害を生じた患者におけるMRIによる非造影のperfusion画像、washout画像及びIVIMを用いたMR線維化画像と各臨床データ、造影CT像、ドップラー超音波検査所見、門脈及び肝静脈の直接造影・圧測定、肝生検の病理学的所見との比較検討を重ねるとともに、ある程度の数の症例が得られた時点で、その結果を評価する。門脈圧亢進症を合併している症例や肝内での門脈―肝静脈吻合が発達している症例での撮像を増やし、検討を重ねる。
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次年度の研究費の使用計画 |
非造影MR肝静脈血流washout画像の至適撮像条件の確立に必要な解析用のソフト・機器等を購入予定である。また生体部分肝移植術後に肝障害を生じた患者におけるMRIによる非造影のperfusion画像、washout画像及びIVIMを用いたMR線維化画像と各臨床データ、造影CT像、ドップラー超音波検査所見、門脈及び肝静脈の直接造影・圧測定、肝生検の病理学的所見との比較検討を重ねる際に必要な医療材料費等も必要である。ある成果が得られた時点で、その初期結果を学会報告する予定で、そのための旅費にも研究費を使用する予定である。
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