研究実績の概要 |
本研究では、まず健常ボランティアに対して高磁場(3T)MRI 装置と32チャンネルの高性能頭部コイルを用いてDouble IR画像 および比較対象となるT2強調画像、FLAIR画像を撮像し、Double IR画像における正常構造の描出能を確認した。アーチファクトの低減に努めながら、皮質白質コントラストを良好に描出できる至適撮像条件(TR, TE, TI, スライス厚など)を、健常ボランティアを撮像することにより決定した。健常ボランティアでは、T2強調画像、FLAIR画像とも白質構造の描出に、これまでの報告と同様の正常構造描出が確認された。Double IR画像ではartifactの少ない良好な画像を得ることが可能となった。 最適化された各撮像法を用いて、側頭葉てんかん患者におけるT2強調画像、FLAIR画像、Double IR画像それぞれのてんかん側半球の同定能を視覚的に検討し、DIRが最も優れていることが明らかとなった。 さらに、側頭葉てんかん患者においてデータ解析ソフトウェアを用いて、Double IR画像の白質変化を定量的に解析し、Double IR法はFDG-PETに匹敵する、高いてんかん側半球の同定能を有していることが明らかとなった。 側頭葉てんかん患者での有用性が明らかになったことで、側頭葉てんかん以外のてんかん患者におけるDouble IR法の有用性を検討するとともに、多発性硬化症などの様々な疾患においても解析を試みている。
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