研究課題
最終年度である平成26年度は、1) 担癌症例におけるF-18 FBPA PETの腫瘍集積の評価、および2) 腫瘍集積評価法の標準化の検討を行った。1)では、F-18 FBPA PET検査を脳腫瘍7例、頭頸部腫瘍12例に対して施行し、腫瘍の放射能濃度値を患側対健側比(T/N比)、あるいは患側対血液比(T/B比)で比較検討した。その結果、腫瘍の悪性度は、放射能濃度の平均値による比(Tmean/Nmean比)に比べて最大値による比(Tmax/Nmax比)の方がよく反映した。また、T/B比はT/N比に比べて健側組織の状態による放射能濃度変動の影響を受けにくく、安定した数値を示した。1)の結果から、2)では腫瘍集積評価法の標準化に関してT/B比の使用が適していると考えられ、その精度の検証を行った。平成25年度に行った健常者6名のF-18 FBPA PET画像と採血データを用い、PET画像上の左心室血液放射能濃度値と実測の全血放射能濃度値を比較し、その相関性を検討した。その結果、両者はF-18 FBPA静注53分までのいずれの時間でも有意に相関した。以上より、腫瘍集積評価法の標準化にはPET画像上の左心室血液放射能濃度値を用いたT/B比の使用が適していた。3年間の全研究期間では、前半で正常および脳腫瘍モデルラットにおけるF-18 FBPA PETとB-10ホウ素濃度との相関を検証し、ホウ素中性子捕捉療法時に施行するF-18 FBPA PETが治療量のB-10ホウ素濃度の推定に有用であることを証明した。後半では健常者のF-18 FBPA PETによる中性子照射後の合併症予測に関する研究や、担癌患者における腫瘍集積評価法の標準化に関する研究を行った。以上より、本研究では前臨床研究から臨床研究まで全研究期間を通じて一貫して行い、設定した課題目標を順調に達成することができた。
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EJNMMI Res
巻: 20 ページ: 70-78
10.1186/s13550-014-0070-2
http://www.med.osaka-u.ac.jp/pub/tracer/res_cg05.htm