研究課題/領域番号 |
24591759
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
細井 理恵 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30291446)
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キーワード | 糖尿病 / 脳循環代謝 / イメージング / 治療効果 |
研究概要 |
平成24年度にストレプトゾシン(STZ)誘発1型糖尿病モデルマウスおよび2型糖尿病モデルマウスであるBKS.Cg-+Leprdb/+Leprdb(以下、dbdbマウス)において糖代謝の低下およびグリア代謝の亢進について明らかにした。 平成25年度はこれらのモデルマウスに薬物治療を施した際に脳のエネルギー代謝異常に回復がみられるか否かについての検討を中心に行った。STZ誘発1型糖尿病モデルマウスにインスリンを投与することにより血糖値の回復が認められたマウス脳の糖代謝およびグリア代謝を検討したところ、14C-DGの取込み低下はインスリンにより血糖値を回復させることでコントロールレベルまで回復した。1型糖尿病モデルマウスでは心筋においても14C-DGの取込み低下を認めているがインスリン処置により14C-DGの取込みは増加を示した。14C-酢酸の取込みはインスリン処置によりコントロールと比較すると高値ではあるもののSTZ群と比較すると有意に低下を示した。またDARを用いて評価すると1型糖尿病モデルマウスにインスリン処置を行ったマウスはコントロール群と同程度の取込みを示した。 dbdbマウスについては薬物治療のための最適投与量を現在検討中である。 また脳におけるエネルギー代謝のうち、グリア細胞における代謝をより詳細に検討するために1位標識および2位標識酢酸の取り込みをグリア細胞代謝抑制モデルをラットを用いた基礎検討を行った。 さらに血流トレーサーである99mTc-HMPAOの取り込みがグリア細胞の活性に依存するという知見より同一個体を用いた2種類の血流トレーサー(99mTc-HMPAOおよび14C-IMP)の差異に関する検討を併せて行い、STZ誘発1型糖尿病モデルマウスでの検討を試みた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1型糖尿病モデル動物で生じた脳のエネルギー代謝異常は薬物治療により回復することを明らかにした。一方、2型糖尿病モデル動物では薬物治療効果が明瞭に出なかったために現在、至適量を検討している。 またPETによるイメージングを試みるために、糖尿病モデル動物のエネルギー代謝異常が麻酔下でも生じるか否か検討したところ、麻酔下では代謝異常の検出は不可能であった。そのため麻酔の影響を受けないイメージング方法を開発中である。
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今後の研究の推進方策 |
2型糖尿病モデル動物の脳のエネルギー代謝異常が薬物治療により回復可能か否かを明らかにする。 また神経受容体結合の変化についてはこれまではムスカリン性アセチルコリン受容体の変化を検討したが、ドーパミン系、ベンゾジアゼピン系受容体結合についても検討を追加する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
2型糖尿病モデルマウスにおける薬物治療と標識リガンドの取り込みを検討する予定であったが、薬物の治療に対する至適量の設定に想定より時間を要した。2型糖尿病モデルマウスは1匹1万円以上と高価であり、本実験に至らなかったために次年度使用額が生じた。 実験動物、標識化合物に研究費の大半を用いる予定である。 また研究成果の取りまとめ中であり、学術集会での発表、学術雑誌への投稿を予定している。
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