研究課題/領域番号 |
24591764
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
花元 克巳 岡山大学, 保健学研究科, 助教 (20335590)
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研究分担者 |
川辺 睦 岡山大学, 保健学研究科, 助教 (30403471)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 在宅医療 / 可搬型 / X線 / 撮影装置 / 焦電性結晶 |
研究概要 |
在宅医療において、早期発見、早期治療のためのX線診断は欠かせない。しかし、従来のX線撮影装置は高電圧電源とX線管球が必要であり、ポータブル型のものでさえ大きくなるため、家屋等でのX線撮影は困難を伴う。一方で、高電圧電源とX線管球を使わずにX線を発生させる方法に、焦電性結晶を用いる方法がある。これを用いれば、X線撮影装置を大幅に小型化できる可能性がある。本研究では、焦電性結晶を用いてX線撮影装置を大幅に小型化することによって、AED(自動体外式除細動器)のように持ち運びが可能で、撮影場所を選ばない、在宅医療、救急医療等において撮影可能な可搬型X線撮影装置を試作し、実用化を目指す。 今年度は、基礎実験として、焦電性結晶による発生X線の広範囲な気圧依存性について調べた。既存の装置では、気圧を3 Pa程度までしか下げることができなかったが、高真空を達成できるポンプを導入し、0.8 mPa程度までの低気圧を実現したので、0.8 mPaから20 Paの気圧範囲における発生X線の特性を調べた。その結果、10 Paより高い気圧ではX線は発生せず、気圧が高い領域(3から10 Pa)では、X線の発生電圧と強度は気圧を下げるにつれて急激に増加することがわかった。X線の発生電圧は3 Pa付近で最大となり、それより低い気圧では減少し、さらに気圧が低くなると一定値に収束することがわかった。X線の強度は、3 Pa付近で最大になり、それより低い気圧では最大値で飽和することがわかった。4桁にわたる広範囲な気圧に対する発生X線の特性を調べたことにより、気圧に対するX線発生特性をほぼ網羅できた。また、X線撮影とX線スペクトル測定の両方共に可能なプロトタイプ装置を作製し、X線撮影の画像を記録する装置として、小型のフラットパネルディテクタを導入した。これらのことにより、実験効率を高めることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
基礎実験を行うにあたって低気圧が達成可能な真空ポンプを導入したが、既存の真空槽では容量が大きいため、40 mPa程度の気圧までしか達成できなかった。発生X線の気圧依存性を明らかにするためには、1 mPa程度の気圧を達成させる必要があるため、既存の真空槽より容量の小さな真空槽を導入した。これにより、1 mPaから10 Paまでの4桁にわたる広範囲な気圧下での実験が可能となったが、真空槽交換に伴う真空部品の設計と納品に時間がかかり、基礎実験の進行が遅れた。
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今後の研究の推進方策 |
基礎実験として、焦電性結晶-ターゲット間距離の変化によるX線発生特性と、焦電性結晶の厚さ変化によるX線発生特性の実験を行う。どちらの実験も装置の組み立てを伴うため、装置の組み立てを最小限にするようにして実験を行う。 X線撮影とX線スペクトルの測定では、プロトタイプ装置が完成し、フラットパネルディテクタを導入したので、これらを使用して効率よくデータを蓄積していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし。
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