研究実績の概要 |
最終年度は、我々の開発した画像ノイズ低減ソフトウェアと、従来から日常臨床で使用している画質改善ソフトの一つである逐次近似画像再構成法との併用に関して、臨床での検討を行った。対象症例は20例で、全例prospective ECG-triggering scanにより心臓CTを撮影し、従来と同様、時相の異なる3つの画像(70%、75%、80%)を作成した。その後、この3つの画像を逐次近似画像再構成法にて作成した後に、非剛体変形および加重平均を行ってノイズ低減画像を作成した。従来同様、ノイズの評価には上行大動脈のCT値の標準偏差を用い,コントラスト分解能には冠動脈のContrast to Noise Ratio (CNR)を計算した.定性評価としては、2名の放射線診断専門医による視覚評価を5段階で行った(1 = nondiagnostic, 5 = excellent)。 結果は、通常のCT画像でのノイズが平均22.5±3.7 HUであったのに対し、画像処理後のノイズは15.5±2.9 HUとなり、約35%のノイズ低減が得られた。これは昨年度に行ったファントムでの実験と同等の結果となった。また、CNRも17.5±3.3から25.5±5.1へと大きく改善し、視覚評価も有意差に上昇した(3.85 vs 4.40; p < 0.01)。本法を用いることで理論上、58%程度の被ばく低減が可能と考えられた。
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