研究実績の概要 |
前年度に引き続き薬剤性小腸粘膜障害のCT分類の研究を進めた。これまでの結果から、薬剤性小腸粘膜障害は様々なCT所見を呈することがわかったが、特に起因薬剤の服薬期間により所見に違いがみられる事に注目し、CT分類を進めた。type1は服薬期間が半年以下に認められることが多く、CTエンテロクリーシスでは粘膜層に小さな濃染域を認め、多発する傾向にあった。内視鏡では小さなびらんや潰瘍を伴う軽度の炎症に対応していた。type2は3年以上の長期服薬症例に多くみられ、CTエンテロクリーシスでは腸管壁全体が濃染される様式を呈していた。このタイプは周囲の脂肪織炎やリンパ節腫大を伴う事が多く、高度な慢性炎症が示唆され、内視鏡でも比較的大きな潰瘍が認められた。type3は短期および長期服薬症例の両者に認められ、CTエンテロクリーシスでは粘膜層の濃染と粘膜下層の浮腫が混在する、いわゆるターゲットサインと呼ばれる所見を呈した。粘膜下の浮腫を合併するため、内視鏡では狭窄像を認めることが多かった。これらの研究成果はBritish Journal of Radiology、2014 Dec(CT enteroclysis/enterography findings in drug-induced small-bowel damage. Takayuki Kishi, Kensaku Shimizu, Shinichi Hashimoto, Hideko Onoda, Yasuo Washida, Isao Sakaida, Naofumi Matsunaga.2014年 )に掲載された。
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