研究課題/領域番号 |
24591768
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
岡田 宗正 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (70380003)
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研究分担者 |
松永 尚文 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40157334)
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キーワード | 冠動脈CT / ニトログリセリン / 冠動脈拡張能 |
研究概要 |
亜硝酸薬投与前(非投与)の冠動脈CTAと亜硝酸薬投与(使用)後冠動脈CTAを撮影し、各冠動脈セグメントの冠動脈径を測定し、この冠動脈径から冠動脈の拡張度[(亜硝酸剤投与時の冠動脈径-非投与時の冠動脈径)/亜硝酸剤非投与時の冠動脈径]を計算し、冠動脈の拡張度が大きな症例と少ない症例で、冠動脈攣縮の可能性があるかどうか検討している。 亜硝酸薬は、冠動脈攣縮の究極的な治療薬である。このため、平成25年度は、亜硝酸薬を投与し冠動脈の拡張能の違いから、冠動脈攣縮が検討可能か研究している。このため、baseline studyとして、亜硝酸薬投与前の冠動脈径と冠動脈拡張率の関係を検討し、冠動脈径が大きくなれば冠動脈の拡張能が低下し、細血管でより冠動脈の拡張が強くなったたことが分かり、この内容を論文化したところ、Journal of Cardiologyからminor revision (accept)の連絡を受け現在対応中である。 次に冠動脈plaqueがある場合はplaque性状により冠動脈拡張が異なるか検討しており、最終的には、臨床的に冠動脈攣縮が胸痛の原因と考えられる症例と、冠動脈非攣縮例とで、冠動脈拡張率の違いがあるか、冠動脈plaqueとの関係があるかなど評価する。 平成26年度は、各plaque部位での冠動脈拡張能の違いを、血管径に合わせて(例えば2.5mm以上の内腔径)評価する。このことで、冠動脈plaque性状と亜硝酸薬に対する内皮の反応性が評価でき、冠動脈の内皮障害と冠動脈plaque性状との関係も推測できるものと思われる。平成25年度に北米放射線学会(シカゴ、アメリカ)や心臓CT学会(モントリオール、カナダ)で今回の内容を報告し、多くの研究者と議論ができ、冠動脈プラーク自体が冠動脈拡張にとって良くはなく、特に冠動脈壁に沿った石灰化plaqueで悪いことが分かり、現在英語論文化中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
亜硝酸薬(NTG)使用前使用後の血管径計測が終了し、baseline studyとしてNTG使用前の冠動脈径と使用後の冠動脈の拡張を計測し、その関係を英語論文化し、現在投稿中である。また、これに続き、冠動脈プラーク性状(非石灰化・石灰化プラーク)などで、冠動脈拡張率が異なるか検討し、国際学会などで発表している。これらも、随時英語論文化し、投稿予定である。今後は、臨床的に冠攣縮が胸痛の原因として疑われる症例か否かで、検討し冠動脈攣縮の原因となり得る病変及びCT所見は何か、検討する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
上記の到達度の項目で記載している通り、冠動脈plaque部を、soft plaque、mixed plaque、石灰化plaqueに分けて、亜硝酸薬使用前の冠動脈径と冠動脈拡張率との関係を評価する。なぜなら、冠動脈拡張に関与する内皮機能は、動脈硬化の初期段階で制約を受けるとも言われているため、動脈硬化の進行した状態と思われる石灰化plaque例と比較的内皮障害の軽い少量のsoft plaque例などで、冠動脈拡張率が異なるか検討する。 冠動脈攣縮は、心臓カテーテルで負荷試験を行えば正確に判断できるが、臨床的に服薬状況と合わせて判断し、冠動脈攣縮の可能性が高い例かどうかを判断し、冠動脈攣縮例及び非攣縮例で、冠動脈拡張率が異なるか、または冠動脈plaqueの状況は異なるかなどを評価し、学会発表及び英語論文化を行う予定である。
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