研究分担者 |
宮坂 光俊 九州大学, 大学病院, その他 (10457434)
西牟田 雄祐 九州大学, 大学病院, その他 (10635220)
浅山 良樹 九州大学, 大学病院, 助教 (40380414)
鶴丸 大介 九州大学, 大学病院, 助教 (90419565)
本田 浩 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90145433)
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研究概要 |
320列MDCTによりCTCが施行された33症例の進行大腸癌を対象に腫瘍のvolumetryを行い、動脈性増強効果と病理学的因子について比較検討した。全例、経静脈性非イオン性高濃度ヨード造影剤投与下にボーラストラッキング法を用い、動脈優位相の多時相高精度腫瘍容積データを収集した。今回、trigger pointから30sec後のデータを用い腫瘍のvolumetryを行った。動脈性増強効果の指標として、①腫瘍の平均CT値、②相対比率(腫瘍の増強効果の程度:造影時の平均CT値/非造影の平均CT値)を用い、病理学的因子と比較した。それぞれの平均値をcutoff値として多血性、非多血性腫瘍の2群に分類した。腫瘍の平均CT値は68±17HU、平均相対比率は1.8±0.41であった。平均CT値による検討(①)では、多血性腫瘍はリンパ節転移陽性の頻度, 進行度pStageI,IIの頻度はそれぞれ31%,69%であった。一方、非多血性腫瘍はリンパ節転移陽性の頻度, 進行度pStageIII,IVの頻度はいずれも60%であった。相対比率による検討(②)でも、同様に、多血性腫瘍はリンパ節転移陽性の頻度, 進行度pStageI,IIの頻度はいずれも30%であったのに対し非多血性腫瘍は、リンパ節転移陽性の頻度, 進行度pStageIII,IVの頻度はいずれも57%であった。進行大腸癌原発巣において動脈性血行が豊富なものより乏しい腫瘍が病理学的悪性度が高い可能性が示唆された。一方、壊死のCT値を50HU以下と定義し、腫瘍内壊死の割合(%;腫瘍内非濃染域の容積/腫瘍全体の容積)を算出したところ、平均値は34±17%であった。腫瘍内非濃染域の割合が50%以上の腫瘍(V50%≦)と50%未満の腫瘍(V50%>)を比較したところ、V50%>のリンパ節転移陽性の頻度, 進行度pStageIII,IVの頻度はいずれも71%であり、V50%≦と比べ有意に頻度が高かった。原発巣の腫瘍内壊死の程度が病理学的悪性度と関連する可能性が示唆された。
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