研究課題/領域番号 |
24591781
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
森 宣 大分大学, 医学部, 教授 (20128226)
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研究分担者 |
菓子野 元郎 大分大学, 医学部, 准教授 (00437287)
山田 康成 大分大学, 医学部, 講師 (60244183)
松本 俊郎 大分大学, 医学部, 准教授 (80219500)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | p53 / 18F-FDG / PET / ワーブルグ効果 |
研究概要 |
1.膵癌由来細胞であるPK59細胞におけるp53、p21の発現レベルを確かめた。対照として用いた正常ヒト線維芽細胞BJ/hTERT細胞においては、未照射時でもp53、p21の発現がわずかにみられ、γ線6Gy照射後、発現レベルの増加が認められた。PK59細胞ではp53、p21の発現レベルは低く、γ線6Gy照射後の誘導も全く見られなかった。この結果より、BJ/hTERT細胞とPK59細胞はp53のステータスが異なることが確認できた。今後、両細胞における18F-FDG(フルオロデオキシグルコース)の細胞内取り込みレベルを調べることにより、p53のワーブルグ効果への役割を明らかにすることができると考えている。 2.p53が異常なCHO細胞を用いて、18F-FDGの取り込みレベルを定量化する手法の確立を試みた。細胞を処理前日に35mmディッシュに植え込み、18F-FDGを培養液中に約24MBq/mlになるように添加し、経過時間毎に細胞内へ取り込まれた放射能の測定を行った。その結果、添加20分~4時間後まで放射能レベルは増えることがわかった。18Fの半減期は110分であることから、4時間後以降の細胞内放射能レベルは減る傾向が見られた。18Fの放射能の減衰補正をして細胞内取り込みレベルを再評価すると、添加直後から8時間後まで直線的に細胞内取り込みが増えていることが確認できた。処理時間と取り込みレベルの関係式における直線性を示す相関係数はR2=0.9944であり、処理直後から8時間後までは、細胞内へ均一の速度で18F-FDGが取り込まれていることが確認できた。この結果は、細胞内に取り込まれた後、細胞外へ排出されないという18F-FDGの性質をよく反映しており、今回用いた実験手法が、18F-FDGの取り込みレベルを評価する方法として適切であることを示している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
培養細胞における18F-FDGの取り込みレベルを評価する方法が確立できており、ウェスタンブロット法によるp53、及びp21タンパク発現レベルも使用細胞で評価することができたことから、培養細胞レベルの解析は順調である。しかし、摘出腫瘍の解析はまだ進んでおらず、25年度以降に実施することになっている。
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今後の研究の推進方策 |
24年度中に実施できなかった摘出腫瘍の解析を進める。また、交付申請書に記載したとおり、各種細胞株を用いて調べる。特にミトコンドリアの機能とFDG取り込みレベルとの関連性を調べる。
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次年度の研究費の使用計画 |
旅費が18,179円繰り越されているが、FDG研究に関する情報を収集するために、予定通り日本核医学会第53回学術総会(福岡)に参加する予定である。
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