研究課題/領域番号 |
24591781
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
森 宣 大分大学, 医学部, 教授 (20128226)
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研究分担者 |
菓子野 元郎 大分大学, 医学部, 准教授 (00437287)
山田 康成 大分大学, 医学部, 講師 (60244183)
松本 俊郎 大分大学, 医学部, 准教授 (80219500)
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キーワード | フルオロデオキシグルコース / p53 / PET |
研究概要 |
本年度の研究において、p53の発現状態の違い、または変異の有無による18F-フルオロデオキシグルコース(FDG)の細胞内取り込み量の違いについて調べた。まず、p53が正常に機能していると考えられる正常細胞BJ/hTERT細胞において、p53をノックダウンした際のFDG取り込み量の変化を調べた。siRNA導入時のリポフェクタミン処理により細胞毒性が生じたが、FDG取り込み量を調べる実験は可能であり、p53をノックダウンすることによるFDG取り込み量の変化はほとんど見られなかった。p53が正常である癌細胞MCF7細胞を用いた場合でも、p53ノックダウンによるFDG取り込み量の変化は見られなかった。次に、p53が正常である癌細胞4種(ONS76、Becker、C32、Marcus)と正常細胞2種(NB1RGB、HFLIII)を用いて、FDG取り込み量を比較した。その結果、p53が正常であるという共通点があるものの、FDG取り込みはそれぞれの細胞で異なり、特にラット由来メラノーマ細胞であるC32細胞、ヒト正常皮膚由来NB1RGB細胞ではFDG取り込み量が大きいことが分かった。このことは、FDG取り込み量を直接制御する鍵因子はp53に限らず、組織特異的な因子である可能性が高いことを示唆している。次に、ヒトの癌で多くみられるp53遺伝子の変異(いわゆるホットスポット変異)である175番目、273番目のアミノ酸変異(アルギニンをそれぞれヒスチジンに変異)を組み込んだp53発現ベクターを導入した細胞を用いて解析をした。その結果、親株Saos-2細胞におけるFDG取り込み量と、175または273番目に変異を持ったp53を発現させたSaos-2細胞におけるFDG取り込み量はほとんど変わらなかった。以上の結果より、in vitroの解析においては癌細胞のFDG取り込み量を制御する因子はp53の変異ではない可能性が高い。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
培養細胞でのFDG取り込み量を評価する手法が十分に確立できており、各種細胞株での評価が可能である。in vivoにおける検討はまだ不十分であるが、in vitroにおいて機構解析をしっかりと行うことが重要であると考えている。残りの期間ではin vivoとin vitroの検討を効率よく実施していく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
交付申請書に書いた内容の通り、研究を進める。25年度における結果は、当初予想していたものと異なるが、解析手法の変更はなく、予定通り実験を進めていきたい。
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