研究課題/領域番号 |
24591784
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
原 眞咲 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (50244562)
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研究分担者 |
芝本 雄太 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20144719)
小澤 良之 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90569005)
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キーワード | デュアルエナジーCT / すりガラス状病変 / part-solid nodule / ground glass nodule / デュアルソースCT |
研究概要 |
平成24年度の研究では、平成21-23年度の基盤研究Cにて明らかにした、旧型 Definition ‘Liver VNC’プログラムを用いて作成したcontrast mapping image (CMI)が、アガロースゲルと造影剤によるファントームにおいてヨード濃度を反映し、すりガラス吸収値領域でも適正に評価可能と言う成果を、最新型シーメンス社製デュアルソースCT(Somatom Definition Flash)に対して応用し、ファントームにて適性撮影条件の設定を試みた。デュアルエナジーモード(140kVp,100kVp)を用いた、すりガラス吸収値(-500から-700HU程度)病変造影効果の評価はファントームを、20~50μm程度の中空樹脂を含む市販の樹脂粘土(Shin Nihon Zoukei, Ltd, Tokyo, Japan)により作成し、安定性を確認した(-632.6 ~ -617.2 HU,SD:4.7 HU)上で、CMIのROI値と実際のヨード造影剤濃度との関係を、デンプンにヨードを吸着、粘土と混和し4段階のヨード濃度のファントームを作成し評価した.ファントームの容器は10 mLのテルモ社製プラスティックシリンジを使用し、100から150HU程度の造影過大評価を、Liver VNCのパラメータを過大評価0となるように設定しすりガラス吸収値病変に対する信頼性を担保した。人体型ファントーム京都科学社: 胸部ファントームN-1 ラングマンに装着したところ-9.9過補正され,補正を要することが示された。以上につき、第153回日本医学放射線学会中部地方会平成25年2月2-3日(藤田保健衛生大学,豊明市)において口演発表を行った。 平成25年度においてはこれらの撮影条件をルーチン検査の被曝線量を越えない条件で臨床応用し、肺癌術前患者に応用し、目標症例20例を蓄積した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度の研究実施計画において達成されたファントーム実験により明らかとなった適正撮影条件による臨床応用を開始した。肺癌術前患者に対し、通常のルーチン撮影に用いられているプロトコールである、単純、造影早期、造影後期3相撮影の被曝線量と同等の撮影条件を設定した。実験ファントームを人体型ファントームに搭載した撮影実験では、-9.9と若干の過補正状態となり、さらに,直線の傾きの誤差も考慮した。現在順調に症例を蓄積しており、目標の20症例を達成している。 これに加えて、従来装置である、Somatom Definition において蓄積されていた臨床症例を集積し、肺野すりガラス状病変における造影効果測定について、その精度を臨床的異議について、英文論文を作成し、現在投稿準備中である。
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今後の研究の推進方策 |
本法の応用を臨床症例に対しての開始し、症例を蓄積中であるが、平成26年度前半にさらに評価に十分な症例数まで蓄積を継続する。ヨードアレルギー患者、喘息患者といったヨード造影剤禁忌患者は除外したうえで、当院にて手術予定の有所見精査症例、および本院に受診した良悪性肺縦隔疾患未確診例中、本研究への参加に同意が得られた症例を対象としている。対照データとしては、これまでに得られている同様の症例のデータを使用する。 症例蓄積目標は,18ヶ月にて限局性すりガラス状吸収値病変30症例とする。当院では年間100症例を越える肺癌手術件数があり、十分に収集可能な件数と考えられる。画像データと、手術所見、病理所見とをあわせて、放射線学的病理学的相関について検討を行う。現在投稿準備中の従来法の画像所見と統計学的有意差がえられるか否かを評価する。 得られた成果に付き、国内外の学会にて発表し、最終報告を英文論文として投稿する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は臨床症例の蓄積に専念しており、ファントーム実験結果の国外発表および英語論文作成を実施する余力に乏しかった。このため、主に学会発表経費、旅費、人件費の支出が予定に達しなかった。 次年度使用額1,594,150円については、必要十分な臨床症例数を上で、推進計画に基づき、臨床データについての解析を実施する。画像と手術により得られた病理標本とにつき放射線学的病理学的相関を実施する。総計30症例を目標としており、画像データと、手術所見、病理所見とをあわせ従来法の結果と比較し統計学的に解析評価する。得られた成果に付き、国内外学会にて発表した上で、英文論文として成果をまとめ公表する。これらに必要な、データ記憶解析装置、データ解析ソフト、解析委託、資料作成、学会発表準備、旅費、論文作成費用として26年度研究費を支出する。
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