研究課題/領域番号 |
24591785
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所) |
研究代表者 |
櫻井 圭太 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (70453066)
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研究分担者 |
徳丸 阿耶 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (60507391)
小林 晋 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70596949)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 進行性核上性麻痺 / 淡蒼球 / 信号変化 / MRI |
研究概要 |
今年度の検討では東京都健康長寿医療センターのデータベースを用いて既病理確定例を評価した.対象としたのは,様々な臨床亜型を含めた進行性核上性麻痺(PSP)の既病理確定例7症例及びレビー小体型認知症(DLB)10症例であり,T2強調像における淡蒼球高信号域の有無及びその形態を評価した.PSP症例においては,信号変化の有無と病理所見の関連についても検討した. PSP症例の57%において,淡蒼球にT2強調像での信号上昇があり,2症例が三角形,2症例が棍棒状であった.DLBにおいて,信号変化は30%において認められ,これらは全て卵円形であった.特筆すべきは,中脳被蓋の萎縮が比較的軽度なPSP亜型においても,淡蒼球の信号変化が認められた点である.少数例での評価であるが,PSP亜型において,淡蒼球の信号変化が画像診断の有用性を示唆している可能性がある.従来の低磁場MRIによる報告と同様,比較的高磁場(1.5T)のMRIにおいても,淡蒼球にT2強調像での信号変化が認められたことは診断的価値があると考える.非PSP症例でも信号変化が呈しうる点に注意が必要ではあるが,三角形や棍棒型の形態は特異的である可能性が示唆された.臨床診断が困難なPSP亜型において,このような信号変化を評価することは生前診断及びその後のマネージメントにおいて有用であると考えられる.ただし,グリオーシスなどの病理学的変化の関与に関しては,今後更なる症例を加えた評価が必要であると考えられた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
進行性核上性麻痺の症例において,既病理確定例を用いた評価を行えたことは,当該研究及び今後の臨床診断において,非常に大きな成果であった.ただし,症例数の制限があり,グリオーシスなどの病理学的変化の関与に関しては,更なる症例を加えた評価が必要であると考えられた.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,関心領域(ROI)法や統計画像解析を用いて,進行性核上性麻痺症例における淡蒼球などの形態変化(萎縮)についての評価を行う予定である. ROI法に関しては,名古屋市立大学の症例でプロトン密度強調画像を撮像されている症例を,統計画像解析に関しては,東京都健康長寿医療センター放射線の症例を用いた解析を行う予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
専ら,解析及びその解釈に関する文献の購入や学会発表及びその旅費に用いる予定である.
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