研究実績の概要 |
アデノシン負荷心筋潅流CT(CTP)による冠動脈有意狭窄の存在診断はFFR 0.8に対し比較的高い感度と特異度を示す(Yang DH, Radiology 2015)。一方、本法による心筋虚血重症度の診断特性は明らかでない。【方法】負荷心筋SPECTで一過性虚血陽性の11例(男性9例、年齢61±10歳)にアデノシン負荷N-13 アンモニアPET/CT(PET)、その6±2日後にCTPを行った。心尖部を除く心筋16分画モデルを用い、負荷誘発性潅流低下についてPETは視覚的5段階(0=normal,1=mild, 2=moderate, 3=severe, 4=absent)に分け、CTPはTPR(transmural perfusion ratio)<1.0を虚血陽性とした。 【結果】計33冠動脈潅流域別でPET潅流低下程度が1以上を陽性とした場合のCTPの感度0.88、特異度0.81であった。一方、計176心筋分画別でPET潅流低下程度1以上を陽性とした場合のCTPの感度0.59、特異度0.87、精度0.75、2以上に対する感度0.73、特異度0.82、精度0.80、3以上に対する感度0.90、特異度0.75、精度0.76であり、PET潅流低下2以上を陽性とした場合にCTPの精度が極大となった。 【結論】CTPは冠動脈支配域別の心筋虚血有無の判定については比較的有効だが、虚血程度が軽いほど感度が低下し、虚血範囲と重症度の評価には限界を有する。
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