FDGはブドウ糖のアナログであり、糖代謝を行っている臓器に取り込まれるため、心筋にも集積がみられる。そこで、我々はこれまで、心筋の非特異的FDG集積を消失させるための臨床研究に取り組み、FDG-PET検査の前処置として24時間前からエネルギー基質をコントロール(低炭水化物・高脂肪食摂取)することにより、心臓からのFDG集積を除去する方法を確立してきた。本研究において、FDGの生理的心筋集積抑制法を虚血性心疾患症例に応用したところ、ほぼ完全な非特異的集積の抑制が可能であった。つぎに炎症プラークとういう微細な炎症巣を捉えるためには、空間分解能を向上させる必要がある。そのため、PETデータ収集時に高解像度のTOFモードを用い、また画像データのマトリックスも従来用いていた144×144から288×288に変更させることにより、微小のFDG集積を認識しやすい設定に変更した。さらに、虚血性心疾患の冠動脈(プラーク)の炎症の活動性を考慮して、虚血発作から最長でも1週間以内に心臓PET撮像が行えるように健診医療センター(PETセンター)の検査枠の調整を行った。これにより、Activeな炎症が存在していると思われる急性心筋梗塞あるいは不安定狭心症例における責任冠動脈(プラーク)のFDG集積亢進を捉えることに成功した。一方、安定労作性狭心症例においては責任冠動脈(プラーク)に有意なFDG集積を認めなかったため、前述したFDG集積は冠動脈(プラーク)の炎症巣を認識しているものと確認できた。
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