研究課題/領域番号 |
24591798
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
須田 憲治 久留米大学, 医学部, 准教授 (10399173)
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研究分担者 |
田原 宣広 久留米大学, 医学部, 講師 (10320186)
工藤 嘉公 久留米大学, 医学部, 助教 (10368920)
吉本 裕良 久留米大学, 医学部, 助教 (10624463)
石橋 正敏 久留米大学, 医学部, 教授 (20168256)
家村 素史 久留米大学, 医学部, 助教 (30399175)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ポジトロンエミッショントモグラフィー / 川崎病 / 冠状動脈瘤 |
研究実績の概要 |
年間1万4000人の小児科罹患する全身の血管炎である川崎病では、治療後も合併症として約1%の患者に冠状動脈瘤が残存する。この冠状動脈瘤を残した多くの例において、その壁が肥厚し、狭窄性病変から虚血性心疾患に至ることが知られているが、その機序は不明である。成人の動脈硬化と同様に、機序として高脂血症や慢性の炎症が示唆され、実際冠状動脈瘤の残存する例では、血液中の炎症性物質が上昇していることは報告されていたが、実際の冠状動脈局所でどうなっているかは不明であった。 本研究の目的は、「PET/CT を用いた生体分子イメージングにより、冠状動脈の炎症の局在・活動性を評価し、川崎病後の冠動脈瘤のリモデリング機構を解明すること」である。 本研究期間において、冠状動脈瘤の残存した15例と、冠状動脈瘤の退縮(血管造影上正常化)した9例、のべ24例の川崎病既往患者で、PET/CTを用いた分子イメージングを行った。 そして、冠状動脈瘤の残存する例においては、川崎病り患後40年を経た遠隔期においても、その冠状動脈瘤壁に炎症が持続していることを、世界で初めて発見した。現在、データ解析中であるが、冠状動脈瘤退縮例では冠状動脈壁の炎症はほとんど認めなかった。 また、冠状動脈瘤壁に炎症のある症例に対して薬物治療を行い、2年後の検査で、この炎症が軽減されることも見出した。 これらの知見は、新規の発見であり、川崎病遠隔期における冠動脈壁のリモデリングの機序の解明につながるとともに、その治療法の開発に端緒を開くものである。
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