研究課題/領域番号 |
24591799
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
藤本 公則 久留米大学, 大学病院, 准教授 (00199366)
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研究分担者 |
酒井 文和 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (30153852)
原 眞咲 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (50244562)
富山 憲幸 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50294070)
楠本 昌彦 独立行政法人国立がん研究センター, その他部局等, 研究員 (90252767)
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キーワード | 縦隔腫瘍 / 縦隔腫瘍取扱い規約 / 縦隔区分 / 画像診断 / 鑑別診断 |
研究概要 |
本研究の代表者および分担者全員は,本邦で初めて発刊された「臨床・病理 縦隔腫瘍取扱い規約」で、世界で初めてCT横断画像による縦隔区分法を提唱し一定の評価を受けているが,本研究の最終目標は,さらに大多数例での妥当性の確認を行い、本方法論の整合性を確認し、国内での啓発を行い,世界に向けて発信することにある。 昨年度,研究者が所属する基本5施設から、後ろ向きに縦隔腫瘤性病変約500例の画像データを収集し各研究者が、「臨床・病理 縦隔腫瘍取扱い規約」で提唱した「横断画像を用いた縦隔区分法」にしたがって各腫瘤性病変がどの縦隔区画に分類されるか読影実験を行って,その結果を国際学会において発表したが,本年度の研究目標として,(1)この研究成果を英文論文化し,欧米誌に投稿,受理を目指すこと,(2)この論文を広く紹介し,学会や研究会などで啓発することであった。 (1)研究成果は,445例の縦隔腫瘤性病変を提唱した縦隔区分法にしたがって分類すると,各病変は問題なく区分できること,また,区分によってある程度の鑑別診断が可能なことを明らかとし,Oncology Reports誌に投稿し,受理され,2013年12月に電子文書として公表,2014年2月に掲載された(Fujimoto K, Hara M, Tomiyama N, Kusumoto M, Sakai F, Fujii Y. Oncol Rep. 2014 Feb;31(2):565-72. doi: 10.3892/or.2013.2904. Epub 2013 Dec 6.)。 (2)研究成果は,後述の研究成果発表(雑誌論文,学会発表,図書)の通り,広く公開,発表し,啓発を行った。 来年度に行う予定である縦隔区分法の整合性の検討にむけて,新たに各施設から100例以上ずつ,計500例以上を集積し,その準備に取りかかっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の計画で重要な点は以下であった。 (1)研究者が所属する基本5施設から、後ろ向きに縦隔腫瘤性病変の画像データを収集し,区分法を行うこと,(2)縦隔区分法が再現性の良い使いやすい方法論であるかを評価し,方法論の整合性も検証すること,(3)横断画像を用いた縦隔区分法の方法論を英文化し、欧米誌で発表すること,(4)次年度に行う区分法の整合性の検討にむけて準備を行うこと,である。 上記に対する本年度進行状況としては以下の通りで,おおむね順調と評価した。 (1,2)縦隔腫瘤性病変445例を用いた過去の検討を再検証し,方法論の再確認を行った結果,再現性の良い使いやすい方法論であると評価でき,方法論の整合性も各研究者で再確認できた。 (3)方法論を英文化し,目標である欧米誌で公表できた。また,国内誌に総説,関連総説を掲載し,また,この方法論の啓発に向けた関連学会,研究会での成果発表ができた。 (4)次年度の評価のために新たな症例集積をほぼ終了し,準備がほぼ整った。
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今後の研究の推進方策 |
縦隔区分法の区画の整合性、読影者間一致度の検討に関しては、目標症例は各施設から100例を超える症例を集積し(計500例以上),これら症例の情報収集を現在行っている。進 行状況から,さらに1~2か月間必要と判断し,集積を進めている。各症例のうち、腫瘍性病変に関して、胸腺上皮性腫瘍、胚細胞性腫瘍、悪性リンパ腫、神経原性悪性腫瘍では、病期分類の作成のため可能な限り患者情報を得る。基本的に画像はデータ(DICOM、 TIFF、JPGなど)での集積を行うが、画像フィルムの場合は、これをデジタル化して収集する。患者個人が特定できるようなデータは収集しない。 以上の集積終了後,コアメンバー間で一度読影者間一致度を検討し、再現性の良い使いやすい方法論であるかを評価する。このコアメンバーによって選別した症例をブラインドで読影できるようにデータセットを準備する。研究者が所属する基本5施設から、読影者を選択し,まず,個別に胸部単純X線写真単独での病変認識率を検討,その後,縦隔区分法を従来のJARTの方法,新たに作成した縦隔区分法などで各腫瘤性病変を区分させ,コアメンバーとの読影一致率,さらに各読影者間での一致率を検討する。アンケート調査も同時に行う予定で,これらの情報から,縦隔区分法の整合性とともにどの方法論がもっとも一般的に用いられやすいかも検討する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度は従来の縦隔区分法の有用性についての成果報告(欧米誌,国内誌への掲載)が主な目的で,次年度の検討のための症例集積を行った。データ保存のために必要なHDなどの画像保存媒体,データ集積,解析,整理のための人件費,共同研究打ち合わせのための諸費用など,各支出が次年度でも多く必要になる。 次年度で特に必要となるものは症例集積後のデータ収集で,画像はデータ(DICOM、 TIFF、JPGなど)での集積を行うため,HDなど画像保存用媒体代,個人データの保護のための作業代,文通費などが必要である。また、画像フィルムの場合は、これをデジタル化して収集する必要があり,この作業に関しては研究補助・謝礼が必要となる。 症例集積が終了した段階で,データ集積のための打ち合わせを行い,さらに研究方法の再確認,変更などの話し合いを行うため,打ち合わせ会議のための会議室使用代,交通費も必要となる。再現性の評価のための読影者へのデータ輸送代,謝礼,集積データの管理,検討後の解析のための研究補助・謝礼が必要となる。
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