研究課題
基盤研究(C)
本研究は神経路を構造かつ機能的に計測し、損傷脊髄における神経回路再編成メカニズムの解明を目的としている。そのために、小型霊長類であるコモンマーモセットの脊髄損傷モデルを対象にする。初年度は、コモンマーモセットに対し、動物を安全にMRI計測するための保持ベッド、多チャンネルサーフェス受信コイルの開発、高磁場におけるアーチファクト低減のための計測法の最適化、そして麻酔や生体管理法の最適化など周辺環境を整備した。これらにより、7テスラMRIを用いた再現性の高い画像評価システムを構築することができた。そして確立した髙分解能MRIと得られた知見をまとめ国際誌に投稿した。さらに、正常および脊髄損傷モデルの動物を対象に継時的な神経走行路の画像評価を実施している。この際、損傷に伴う広範囲の神経変性や機能代替変化を解析するため頸髄に加え脳領域のMRIも取得している。今後、これらを統合した解析を実施する。また、機能的計測として脳活動の可視化法の確立を目指している。動物のMRIでは通常麻酔により動物を不動化して計測するが、麻酔によって活動が低下するため覚醒下での実験が重要となる。そこで、現在マーモセットを訓練し、覚醒下でMRIを計測できる実験系をセットアップしている。
2: おおむね順調に進展している
本研究を実施する上で新たな実験系の構築が必要である。初年度はそれらを1つずつセットアップし、開発した技術やその手法によって得られた知見をまとめ論文化している。このように着実に研究目的に向かって実験が進んでおり、順調に進んでいると判断した。
引き続き、研究協力者との定期的なグループミーティグにおいて緊密にディスカッションしなから研究計画に沿って実験を進めて行く。実験計画では、小型霊長類コモンマーモセットを対象としているが、その解剖機能的な検証のために遺伝子改変マウスの実験が必要と考え追加して実施する。
初年度において実験環境が整備されたことから次年度は本格的な動物実験を開始する。そのための麻酔、酸素ガスといった実験用試薬や、組織評価として組織固定試薬、また実験機材消耗品の購入が増える。さらに、実験内容として計測・解析が中心になるため大学学部生の実験補助を依頼する。そのために支払う謝金として使用する。
すべて 2013 2012
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (11件) (うち招待講演 7件)
Neuroscience
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10.1016/j.neuroscience.2012.09.053
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