研究課題/領域番号 |
24591803
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 独立行政法人放射線医学総合研究所 |
研究代表者 |
辻 厚至 独立行政法人放射線医学総合研究所, 分子イメージング研究センター, チームリーダー (60303559)
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研究分担者 |
加藤 孝一 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 脳病態統合イメージングセンター, 室長 (50382198)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 腫瘍画像診断 |
研究概要 |
[11C]AIBと[18F]FDGの腫瘍と炎症の集積性の比較検討として、ヒト肺癌細胞をヌードマウスの皮下に移植し、腫瘍径が約10mmになった時点で、テレビン油を反対側の大腿筋に注入して炎症を誘発させた。24時間後に[11C]AIB PETを行い、減衰後に同じマウスで同じ日に、[18F]FDG PETも行った。腫瘍と炎症への集積を画像解析により定量し比較した。画像解析だけではなく解剖法による検証も実施した。テレビン油投与部位は、病理解析により炎症が誘発されていることを確認した。[11C]AIBと[18F]FDGの腫瘍と炎症の集積性を比較した結果、[11C]AIBは、[18F]FDG腫瘍に高集積することが明らかとなった。また、[18F]FDGとは異なり、炎症部位にはほとんど集積しなかった。[11C]AIBは、治療効果の判定に有用であることが示唆された。 [11C]AIBの類縁体の標識合成法の開発として、アミノ酸シッフ塩基誘導体のαアルキル化を利用して、アルファ-エチルメチルグリシンのメチル基を11Cで標識する方法の開発を行った。[11C]AIB標識合成における知見を活かし、DMSO中でTBAFによりアミノ酸シッフ塩基誘導体を活性化する手法を試みたところメチル化がほとんど進行しなかったが、より強力な塩基であるKOtBuを用いることで収率よくメチル化が進行した。次いで脱保護を行うことで目的産物のα-エチル[11C]メチルグリシンの生成を確認した。反応条件の最適化を進めることで、[11C]ジエチルグリシンの標識合成法の開発の一助になることが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
[11C]AIBの評価を行い、治療効果の判定に有用であることを示唆する成果を得た。また、[11C]AIBの類縁体の標識合成法の開発を行い、アルファ-エチル[11C]メチルグリシンの標識合成に成功した。
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今後の研究の推進方策 |
[11C]AIB PETが、治療効果モニタリングにおいて有用かどうかを検証するために、モデルマウスの腫瘍に放射線照射し、[11C]AIB PETを経時的に行う。また、アルファ-エチル[11C]メチルグリシンの標識合成の最適化を継続し、自動合成のセットアップ後に、PET等での評価を行う。[11C]ヨウ化エチルを効率よく得るための検討や[11C]ジエチルグリシンの標識合成法の開発に着手する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額が生じた理由は、[11C]ヨウ化エチルを効率よく得るための検討の準備に時間がかかったためである。翌年度以降に請求する研究費と合わせ、[11C]ヨウ化エチルの検討を行う。
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