研究課題/領域番号 |
24591806
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構(千葉東病院臨床研究センター) |
研究代表者 |
大月 和宣 独立行政法人国立病院機構(千葉東病院臨床研究センター), その他部局等, その他 (50399755)
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研究分担者 |
圷 尚武 独立行政法人国立病院機構(千葉東病院臨床研究センター), その他部局等, その他 (00344979)
丸山 通広 独立行政法人国立病院機構(千葉東病院臨床研究センター), その他部局等, その他 (40399754)
剣持 敬 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (50215133)
伊藤 泰平 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (60509701)
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キーワード | 膵臓移植 / 膵臓再生 / Computed Tomography / ドナー |
研究概要 |
【目的】膵臓の再生能の可能性の検討のために、生体膵ドナーの残膵volumetryと糖代謝機能の変化を術前後で比較検討した。 【対象と方法】生体膵臓移植ドナー18例のうち、今回の評価が可能な膵腎同時移植を試行した13例を対象とした。Aquillion Super4による造影CTより、解析アプリケーションVIRTUAL PLACE FUJINを用いて3D-CT volumetryを術前および術後3ヶ月に計測し、糖代謝として血糖値(mg/dL)、HbA1c(%NGSP)、Insulinogenic Index、BMI(kg/m2)、HOMA-IRも同時期に測定した。膵臓切離予定線は門脈左縁とし、術後の残膵の同定には造影CTと11C-methioninePETの集積部を参考とした。 【結果】術前および術後6ヶ月の残膵volumetry、血糖値、HbA1c、Insulinogenic Index、BMI、HOMA-IRは、30±5, 42±9*、88±1, 104±6*、5.6±0.2, 6.1±0.4*、1.1±1.1, 0.6±0.5、23.0±0.5, 21.4±2.2*、1.3±0.7, 1.0±0.4、*:p <0.01であった。 【結語】残膵のvolumetryは術後に40%の増加がみられ、膵再生の可能性が考えられた。しかし、インスリン分泌能低下により糖代謝の低下がみられたため、膵減少を補うほどの再生は行えていない可能性があり、体重コントロールによりインスリン感受性を高めることにより代償していた。生体膵ドナー手術による膵β細胞減少後の膵再生の可能性が考えられたが、術前と同等までの代償作用はなく、耐糖能維持には厳格な体重コントロールによるインスリン感受性の維持が必要と考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの11C-methionine PET/CTは機能評価であるが、今回は膵機能が厳格に正常と規定される生体膵ドナーを対象として膵ドナー術前後の膵volumetryを計測した。 これまで、膵の切除後体積変化は無いと考えられたが、それは膵臓外科を必要とする膵疾患の膵切除の場合のみであった。ところが、今回の正常膵では術後に体積変化がみられ術後に40%の増加がみられ、これまでの常識を覆す結果となった。しかし、膵再生と考えられる体積増加がみられても術前と同等の膵機能の維持は困難であることが判明した。
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今後の研究の推進方策 |
今後の推進方策:脳死膵臓移植症例において順次評価中で順次11C-methionine PET/CTによる評価を進めていく。また、臨床評価で得られた結果の理論付けのためLewisラットモデルによるモデルでコンロール群、膵切除群を作成し術前と術後1ヶ月後のmicro PET により求めたSUVを比較する。さらに術後SUVと膵再生能を形態学的変化として膵重量増大率、ミクロにて膵島の増大の有無、膵島径の比較、膵β細胞の径および膵臓に占める膵β細胞の割合の変化を各郡にて比較する。さらに生成能の評価としてDNA合成能をBrdUのラベリングインデックスを比較検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究の進捗状況により、研究費の使用時期が変更となった。 臨床例で11C-methionine PET/CT検査費用および臨床例のみでの国際学会(国際移植学会2014.7.26-31米国)での発表および論文化は本年度の実施を予定。したがって、国際学会参加費および渡航費そして論文掲載料および別刷り代金(カラー印刷)に研究費を使用予定としている。さらに上記推進方策にも述べたように、Lewisラットモデルでの実験のため、その実験動物の購入および飼育費用、実験での器具および試薬品やmicroPETのランニングコスト等での費用に使用する予定である。なお、上述の研究において必要なPCや解析ソフト等は随時購入していく予定である。
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