研究課題/領域番号 |
24591812
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
北村 陽二 金沢大学, 学際科学実験センター, 准教授 (10368483)
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研究分担者 |
小川 数馬 金沢大学, 薬学系, 准教授 (30347471)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 放射性医薬品 / ポルフィリン / 腫瘍 / 錯体 |
研究概要 |
ポルフィリンは腫瘍集積性有するが、通常のポルフィリンは金属との結合が遅く、半減期の制限のある放射性医薬品への応用は困難とされてきた。そこで本研究は、金属との結合が非常に速い八臭素化ポルフィリン誘導体に着目し、新規「放射性金属-八臭素化ポルフィリン錯体」を開発し、腫瘍イメージング剤への応用の可能性を明らかにすることを目的として検討を行った。本年度は、これまでの知見に基づき、八臭素化ポルフィリン誘導体として、Octabromotetrakis (4-carboxyphenyl)porphine(OBTCPP)を選択し、放射性金属である111Inで標識した111In-OBTCPPの、肺癌への集積性の検討を行った。KLN205細胞(マウス肺扁平上皮癌由来細胞株)をBALB/cマウスに移植することで担癌マウスを作製し、実験に用いた。111In-OBTCPPを尾静脈から投与した後の担癌マウスにおける体内分布を検討した。その結果、111In-OBTCPPの血液クリアランスは比較的遅かったが、投与24時間後では0.5% dose/gにまで低下した。また、111In-OBTCPPは肝臓、腎臓に高い集積を示したが、腫瘍へも集積し、投与24時間後で、腫瘍へ約5% dose/gの集積を示し、腫瘍/筋肉比は、10以上を示した。以上の結果は、111In-OBTCPPが肺癌に集積する可能性を示しており、肺癌の検診のための診断薬となり得る可能性を有していることを示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
放射性金属での標識に関しては111Inによる標識のみであるが、担癌マウスでの腫瘍集積性の検討まで行っており、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、111In-OBTCPPに関して、多様な種類の腫瘍を用いて腫瘍集積性を確認するとともに、その集積メカニズムの検討を行う。 また、111In以外の放射性金属による標識法の検討、および、より体内動態の優れた化合物の開発を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
H24年度は、RI標識化合物を1化合物に限定し、また、腫瘍細胞はマウス由来細胞株を用い、担癌マウスの作製に高価なヌードマウスを必要としなかったため、次年度使用の助成金が生じた。 翌年度分として請求した助成金と合わせた使用計画について下記に記載する。 化合物(八臭素化ポルフィリン誘導体)を合成するために合成原料となる試薬、RI標識するための放射性同位元素、および、RI標識化合物の精製・分析のためHPLCのカラムを購入する。 放射性薬剤の腫瘍集積性や体内動態の評価を行うために、担癌動物を作製する。そのため、腫瘍細胞、牛胎児血清、細胞培養消耗品、ラット、マウス、ヌードマウスなどを購入する。 関連分野の最新の知見を調査するため、日本核医学会総会、日本癌学会学術総会、日本分子イメージング学会総会などに参加し、情報収集・成果の発表を行うため、旅費を必要とする。
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