研究課題
ポルフィリンは腫瘍集積性を有するが、通常のポルフィリンは金属との結合が遅く、半減期の制限のある放射性医薬品への適用は困難と考えられる。そこで本研究は、金属との結合が速い八臭素化ポルフィリン誘導体に着目し、新規「放射性金属-八臭素化ポルフィリン錯体」を開発し、腫瘍イメージング剤への応用の可能性を明らかにすることを目的として検討を行った。本年度は、これまでの知見に基づき、八臭素化ポルフィリン誘導体として、Octabromotetrakis (4-carboxyphenyl)porphine(OBTCPP)を選択し、放射性金属である111Inで標識した111In-OBTCPPの、基礎的性質と肺癌への集積性の検討を行った。KLN205細胞(マウス肺由来扁平細胞腫)をBALB/cマウスに移植することで担癌マウスを作製し、実験に用いた。111In-OBTCPPのLogP値は0.38であった。0.1 Mリン酸バッファー中安定性を調べた結果、37℃インキュベート24時間後で98.8%が未変化体として存在しており、バッファー中では安定であることが示された。111In-OBTCPPを尾静脈から投与した後の担癌マウスにおける体内分布を検討した。その結果、111In-OBTCPPは肝臓、腎臓に高い集積を示したが、腫瘍へも集積し、投与24時間後で、腫瘍へ約4% dose/gの集積を示し、腫瘍/筋肉比は、10以上を示した。以上の結果は、111In-OBTCPPが肺癌へ集積する可能性を示しており、肺癌の診断薬となり得る可能性を有していることを示唆している。
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