研究課題
抗癌剤の薬剤耐性は肝細胞癌におけるトランスポーターの発現が関与する。このトランスポーターは肝細胞特異性を持つMRI用造影剤であるGd-EOB-DTPAの取り込みや排泄にも関与する。このため、Gd-EOB-DTPAを用いた造影MRI所見は、肝細胞癌の抗癌剤耐性と関連があると考える。本年度は、肝細胞癌に対し持続肝動注化学療法が施行された例において、化学療法前に施行されたGd-EOB-DTPA造影MRI所見の検討を行い、持続肝動注化学療法との奏効率の比較を行った。さらに、これらの症例のなかで手術の既往がある症例について、H.E.染色による病理組織学的検討およびトランスポーターであるOATP8(organic anion-transporting polypeptide 8)、MRP2(Multidrug resistance-associated protein 2)の免疫染色組織学的検討を行った。結果、肝細胞癌のうち、Gd-EOB-DTPA造影MRIの肝細胞相で高信号を呈する群では、低信号を呈する群と比較して無増悪生存率が有意に高値であった。また、Gd-EOB-DTPA造影MRIの肝細胞相で高信号を呈する群では、低信号を呈する群と比較して有意に分化度が高く、OATP8の発現が高かった。MRP2の発現は両群で有意差を認めなかった。以上より、Gd-EOB-DTPA造影MRIで高信号を呈する肝細胞癌は持続肝動注化学療法に対してより高い効果が期待できると考えられた。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (2件)
European Radiology
巻: 25 ページ: 221-220
10.1007/s00330-014-3349-9
ONCOLOGY REPORTS
巻: 31 ページ: 2499-2505
10.3892/or.2014.3138