研究課題/領域番号 |
24591821
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東北薬科大学 |
研究代表者 |
山本 文彦 東北薬科大学, 薬学部, 准教授 (40253471)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 分子イメージング / ラクトソーム / 放射性標識合成 / 腫瘍 / PET / SPECT / マウス / インビボ |
研究概要 |
PETやSPECT用の腫瘍認識性分子イメージングプローブ開発の可能性を探るために、ナノキャリア「ラクトソーム」の効率的放射性標識合成法の確立を目指した。 放射性ヨウ素125標識ラクトソームの合成は、これまで報告者が確立した18F標識ラクトソームおよびヨウ素131標識ラクトソーム合成法に準じ、トリブチルスズ前駆体から用時合成した125I-SIBと末端アミノ基を有するポリ乳酸を反応させて得た125I-BzPLLA合成を、両親媒性ポリマーと自己集合化させることで効率よく得る方法を確立した。粒子化は、生理食塩液中、約50℃で15分間42kHzの超音波を照射することで達成した。本方法は、PET、SPECT核種であるI-124、I-123にも応用可能である。125I標識ラクトソームを用いたSuitまたはColon腫瘍移植マウスにおける生体内分布実験の結果、各種腫瘍への集積を認めた。またテレピン油誘発性炎症腫瘤への集積も認めた。既存の腫瘍および炎症マーカーであるGa67クエン酸ガリウムの放射能分布と比較したところ、Ga67が集積する肝、腎、骨にはI-125ラクトソームは集積しないことから、クエン酸ガリウム(67Ga)で診断困難な炎症・腫瘍の診断ができる可能性が示唆された。 一方で、生体内脱ヨウ素代謝反応の指標とされる甲状腺へのI-125放射能が集積することが認められ、ラクトソームの体内動態を正確に反映していないことが懸念された。このため、ラクトソーム構成ポリマーに直接125I標識化を行った後に粒子化する「本体標識型ラクトソーム」の合成を開始した。標識は、末端にNH基を有する両親媒性ポリマーPLLA-PSar-NHについて、最適合成条件を引き続き検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
125I標識内包物の効率的合成とラクトソーム組み込み条件の確立についてはほぼ問題なく達成した。このため25年度に行う予定であった腫瘍ならびに炎症モデルにおける評価を前倒しで開始した。その結果、得られた知見により生体内安定性について懸念が生じたため、並行してラクトソーム構成ポリマーに直接125I標識化を行った後に粒子化する本体標識型ラクトソームを検討した。本体標識型ラクトソームの合成は達成していないが、25年度中に達成可能と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本体標識型ラクトソームの合成検討と125I標識ラクトソームの動物生体内分布評価をさらに推進するとともに、123I標識ラクトソームを用いたSPECT評価、124I標識ラクトソームを用いたPET評価につなげていく計画である。 さらに、より短時間で良好な腫瘍イメージが得られるようなドラッグデザインの検討も行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
24年度の進行が計画以上であったこと、さらに本体標識型ラクトソームの合成を展開することになったため、新規ラクトソームポリマーの精製に必要な50万円以上の透析装置の購入が急きょ必要となった。このため、24年度の収支差額に25年度の請求研究費を一部加えて当該装置を購入することにした。
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