研究課題/領域番号 |
24591827
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研究機関 | 独立行政法人放射線医学総合研究所 |
研究代表者 |
金 朝暉 独立行政法人放射線医学総合研究所, 分子イメージング研究センター, 主任研究員 (70324150)
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研究分担者 |
張 明栄 独立行政法人放射線医学総合研究所, 分子イメージング研究センター, プログラムリーダー (80443076)
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キーワード | alpha5beta1 integrin / 18F / PET imaging |
研究概要 |
初年度の平成24年度には、PR_bペプチドの合成、放射能核種18Fによる標識及び標識したペプチドのインビトロでの評価を行った。それに続いて、平成25年度には18FのPR_bへの標識条件を確立した。それにより、18F標識PR_bは放射化学的収率約20%、放射化学的純度99%以上で安定的に得ることに成功した。18F標識PR_bのマウス血清中での安定性を検討した結果から、18F標識PR_bは良い血中安定性を持つことが確認された。一方、PR_bのα5β1インテグリン結合モチーフであるRGD配列をRADに変えて、PR_bのネガティブコントロールを合成した。α5β1に対する18F標識PR_bの結合活性および特異性について、α5β1の発現レベルが高い細胞と非常に低い細胞を用い、結合実験と競合阻害実験で検討した。同様な実験を18F標識PR_bコントロールにおいても行った。その結果、18F標識PR_bがα5β1に特異的に結合することが明らかになった。マウス生体内分布評価では、18F標識PR_b投与後30分で血液中放射能のほぼ消失、腎臓と膀胱以外の非標的臓器への非常に低い放射能集積を示した。これにより、18F標識PR_bがインビボにおいても安定性を有することが示された。皮下腫瘍モデルマウスにおいて18F標識PR_bによる30分間のダイナミックPETイメージングを行った。α5β1陽性腫瘍は陰性腫瘍より明瞭に描出された。また定量的PETにより、投与後30分で、α5β1陽性腫瘍の放射能量(%ID/g)は陰性腫瘍の%ID/gより、有意に高かった。18F標識PR_bを投与した場合、α5β1陽性腫瘍への%ID/gが18F標識PR_bコントロールと比べて有意に高かった。これらの結果より、18F標識PR_bはα5β1インテグリンを標的としたPETイメージングプローブとして有望と考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
効率的かつ恒常的に放射化学的純度約99%以上で18F標識したPR_bペプチドを安定的に実験に供給することに成功したため、実験の進度がかなり進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究結果より、18F標識PR_bはα5β1インテグリンを標的としたPETイメージングプローブとして有望と考えられたが。また、それは基本的なプローブ構築と見なされ、それに基づいて、より高い親和性や安定性または適切的な体内分布や代謝を持つプローブのデザイン及び評価を継続すべきである。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験の進度がやや遅れていて、25年度に予定した国内学会発表を参加できなかったため、次年度使用額が48,376円になった。 この次年度使用額は26年度の予算に合わせて、追加実験用の研究材料費や学会発表に利用される予定である。
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