研究課題
細胞表面糖タンパク質であるα5β1インテグリンは、癌の血管新生や浸潤、転移などに関与し、癌の分子標的治療やイメージングの重要なターゲット分子の一つであると認められている。本研究では、フィブロネクチンミメティックペプチドPR_b (アミノ酸配列:KSSPHSRNSGSGSGSGSGRGDSP)を用いた、新たなα5β1PETイメージング剤の開発を目的とした。本研究計画実行の初年度にあたる平成24年度と次年度の平成25年度には、ポジトロン放出核種である18FのPR_bへの標識方法を確立して、α5β1イメージング剤の合成を成功した。その評価をインビトロ、インビボで進めてきました。それに続いて、最終年度の本年度は、18F標識PR_bとPR_bコントロール(RGD配列をRAD配列に変えたもの)のそれぞれの担癌マウスでの生体内分布等の体内動態をPETイメージングで画像化し、腫瘍への放射能集積および正常臓器とシグナルコントラストを算出し、腫瘍を特異的に検出できるかどうかをさらに検討した。その結果、18F標識PR_bによるα5β1陽性腫瘍は陰性腫瘍より明瞭に描出されたことが明らかとなった。また定量的PETにより、投与後30分で、18F標識PR_bを投与した場合、α5β1陽性腫瘍への放射能集積が18F標識PR_bコントロールと比べて有意に高値を示した。これらの結果より、18F標識PR_bはα5β1を標的としたPETイメージング剤として有望と考えられた。一方、当初の計画では、18F標識PR_bとαvβ3イメージング剤の64Cu標識環状RGD四量体を用い、α5β1とαvβ3の発現量の異なる腫瘍モデルにて、PETイメージングする予定であった。しかし、18F標識PR_bはインビボでは投与後速やかに代謝されていたことから、このプローブの体内安定性の改善が今後の最優先に実施していくことが示唆された。
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