研究課題/領域番号 |
24591828
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 独立行政法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
吉本 光喜 独立行政法人国立がん研究センター, 研究所, 研究員 (00345638)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 内照射治療 / 膵がん / インテグリン / リポソーム |
研究概要 |
膵がんは早期発見や化学療法による根治が困難な難治がんである。従って、膵がんを克服するためには、早期発見とより効果的な治療方法の開発が急務である。これまで申請者は、αvβ3インテグリンが発がん早期から発現しており、診断や治療の優れた標的分子であることを明らかにした。この知見をもとに、本研究課題では、膵がんの超早期診断および内照射治療を目的として、治療用及び診断用放射性核種内包RGD修飾リポソームを開発を試みた。 本年度は、RGD修飾リポソームの作成に着手した。まず、コントロール用リポソームとして、Distearoylphosphatidilcholine (DSCP)、コレステロール、N-carbamoyl-methoxypolyethylene glycol (2000)-1,2-distearoyl-sn-glycero-3-phosphoethanolamine sodium saot (mPEG-DSPE)からなるリポソームをエクストリューダーを用いて作成した。また、c(RGDfK)を修飾するために、マレインイミド-mPEG-DSPEを加えて(マレインイミド-mPEG-DSPE:mPEG-DSPE=1:1)、同様にリポソームを作成した。c(RGDfK)のリポソームへの修飾は、c(RGDfK)をチオール化することにより行った。動的光散乱法により粒子径を測定した結果、得られたリポソームの粒子径は約100nmであることを確認した。RGD修飾リポソームによる125I-エキスタチン(αvβ3インテグリン阻害剤)のPANC-1に対する50%結合阻害濃度を調べることにより、結合親和性を評価した結果、RGD修飾リポソームは125I-エキスタチンの結合を優位に阻害することが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、RGD修飾リポソームの作成とインテグリンに対するターゲティング能の評価を目的にしていた。当初の予定通り、リポソームへのc(RGDfK)の修飾に成功し、得られたRGD修飾リポソームがインテグリンに対して親和性を有していることを確認することができた。リポソームへのRGDの修飾とインテグリンに対する親和性の確認が、本研究課題を遂行していく上で重要であることから、本研究は計画的に進んでいると考える。
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今後の研究の推進方策 |
リポソームにインジウム-111を内包し、RGD修飾リポソームと未修飾リポソームの体内動態や腫瘍集積性の違いを実験動物を用いて、明らかにする。動態がすぐれなかった場合は、リポソームの組成を変更する等により改善を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は、実験動物や放射性核種の購入に研究費を使用する。特にインジウム-111は短半減期核種であるため、実験の度に購入する必要がある。 また、リポソーム作成に必要な試薬、細胞培養に関する消耗品や必要に応じてヒト膵がん細胞を購入する。
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