研究課題/領域番号 |
24591828
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研究機関 | 独立行政法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
吉本 光喜 独立行政法人国立がん研究センター, 研究所, 主任研究員 (00345638)
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キーワード | 膵がん / リポソーム / インテグリン / RGDペプチド |
研究概要 |
昨年度、、Distearoylphosphatidilcholine (DSPC)、コレステロール、N-carbamoyl-methoxypolyethylene glycol (2000)-1,2-distearoyl-sn-glycero-3-phosphoethanolamine (mPEG-DSPE)からなるリポソームにc(RGDfK)を修飾したRGD修飾リポソームを合成し、αvβ3インテグリンに対する結合親和性を明らかにした。 本年度は、RGD修飾リポソームの体内挙動について検討を行った。ヒト膵がん細胞(PANC-1)皮下移植マウスにIn-111を内包したRGD修飾リポソームを投与し、4時間後における各臓器への集積率を検討した結果、血中放射能が著しく低く(0.41 %ID/g)、また、腫瘍への集積も低かった(0.44 %ID/g)。一方、脾臓への集積は290.7 %ID/gと著しく高かった。リポソームへのRGDペプチド修飾量が脾臓への高集積に影響していると考え、RGD修飾量を減らした種々のRGD修飾リポソーム(マレインイミド-mPEG-DSPE:mPEG-DSPE=1:19~1:99)を新たに合成した。125I-キエスタチンとPANC-1細胞を用いて結合親和性を評価した結果、新規RGD修飾リポソームはαvβ3インテグリンに対して結合親和性を有していることが分かった。今後、各リポソームの体内挙動や腫瘍集積性についてモデルマウスを用いて検討を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度作成したRGD修飾リポソームでは、十分な腫瘍集積性が得られなかったが、新たなRGD修飾リポソームを作成し、その結合親和性も確認することができた。
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今後の研究の推進方策 |
新たに作成した種々のRGD修飾リポソームの腫瘍集積性などをモデル動物を用いて検証する。最も優れたリポソームについてはY-90を内包し、治療実験を行う。新規RGDリポソームでも腫瘍集積性の改善が認められなければ、これまで作成してきたリポソームとは異なる組成のリポソームを作成し、薬物動態の改善を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
他の研究者と共同でRIを購入したため、購入費を節約することができた。また、本年度はリポソーム組成の再検討を行ったため、当初の計画より使用動物数が減少した。そのため、ヌードマウスやscidマウスの購入費が減少した。さらに、他の研究費により学会発表のための旅費を捻出できたため、旅費についても抑制することができた。 治療実験に必要な放射性核種(Y-90)は非常に高価なため、繰越金を主にRI購入費や実験動物の購入費および学会発表(国際及び国内)のための旅費に使用する。
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